研究課題/領域番号 |
24656404
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
扇澤 敏明 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (80262294)
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研究分担者 |
小畠 英理 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (00225484)
松本 英俊 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (40345393)
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キーワード | 人工血管 / ePTFE / 表面処理 / コラーゲン / バイオインターフェース |
研究概要 |
本研究は、直径5mm以下の小口径人工血管を実現することを目指し、表面処理を施した高分子基材上の表面構造・表面物性と内皮細胞接着性・血小板吸着性との関係を調査し、バイオインターフェースの構築の指針とすることを目的としている。 人工血管内壁のモデルとしてシート状の延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を用いて,内皮細胞付着の足場であるコラーゲンをまず接着させるため、ePTFEに対して表面処理(グロー放電処理、イオンビーム処理、大気圧プラズマ処理、表面処理剤による化学処理(テトラエッチ処理))を行い,その表面分析とコラーゲンの接着挙動に関する研究を行った。ePTFEとコラーゲンの接着力を改善するには、ePTFE表面近傍のフィブリルを表面処理により切断しコラーゲンが膜内部に侵入しやすくし凹凸によるアンカー効果を発現させることと、ePTFE表面に酸素系の極性官能基導入による表面濡れ性の改善や炭素割合の増加による相互作用の増加が重要であることがわかった。さらに、表面処理による劣化層の形成を抑制することも重要であることが明らかとなった。 次に、コラーゲンに対する表面処理による内皮細胞接着性・血小板吸着性の機構を探るため、イオンビーム処理による効果を検討した。照射量を増やすとコラーゲンが褐色を帯び、アミノ酸組成が変化することが明らかとなった。タンパク質を切断し弱い結合を有するアミノ酸を真空中に飛ばすためであると考えられる。内皮細胞はイオンビーム照射量が少ないほどコラーゲンにつきやすく、血小板はイオン未照射よりも照射量を増やすと一旦付着しにくくなるがある値以上になるとまた付着しやすくなることから、血栓を生じないためには最適値が存在する。アミノ酸組成によって血小板の付着しやすさが変化すると考えられる。アミノ酸組成と血小板付着の関係については今後の検討課題である。
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