研究課題/領域番号 |
24656410
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
杉村 博之 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10293656)
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研究分担者 |
邑瀬 邦明 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30283633)
一井 崇 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30447908)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | イオン液体 / 分子メモリ / 自己集積化単分子膜 / 原子間力顕微鏡 |
研究概要 |
本研究課題では、イオン液体と有機自己集積化単分子膜 (Self-assembled monolayer; SAM) とを複合化することで、単一分子レベルでの記録サイズを有するメモリデバイスの実現を目的とした。そのためには、まず、イオン液体とSAMの界面構造を単一分子レベルで分析することが重要である。そこで、申請者らが開発してきた周波数変調原子間力顕微鏡 (FM-AFM) により、これに取り組んだ。その結果、イオン液体中において分子分解能観察に成功した。これは、プローブにより個々の分子にアクセス可能であることを示しており、重要な結果である。さらに、SAMに溶媒和したイオン液体層の個々のイオンの可視化にも成功した。その結果、SAM構成分子の配列と溶媒和層におけるイオン配列とが一致しないことを見出した。一般に、イオン液体は、比較的大きく、また構造非対称なイオンから成り立っており、SAMの分子配列と格子整合がとれなかったと考えられる。また、イオン液体中において、メモリ分子候補であるフェロセニルチオールSAMの電気化学測定を行ったところ、水溶液中と比較して、酸化・還元される分子の数が少ないことが判明した。これは上記の結果と矛盾しない。さらに、イオンサイズの小さなイオン液体を添加することで、この問題が緩和された。すなわち、イオン液体-SAM複合メモリのためには、イオン液体構成イオンの大きさとSAM構成分子の大きさ・配列との関係が重要であり、格子不整合が起きない分子・イオン液体の選定が必要であることが判明した。
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