研究課題/領域番号 |
24656413
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
奥山 喜久夫 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任教授 (00101197)
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研究分担者 |
荻 崇 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30508809)
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キーワード | 蛍光体 / レアアースフリー / 酸窒化物 / 粉体工学 / 化学工学 / 高輝度化 / 軟X線吸収分光測定 |
研究概要 |
白色LED用のレアアースフリー酸窒化物蛍光体BCNOの高輝度化、蛍光体粒子分散について検討し、以下のような成果を得た。 (1)高発光効率・高輝度BCNO蛍光体粒子合成へ向けて、BCNO粒子にSiO2ナノ粒子を添加する手法を試みた結果、BCNO蛍光体の発光強度を増加させることに成功した。特に原料溶液中へSiO2ナノ粒子を3wt%添加した場合、無添加の場合と比べて量子効率が7倍向上することが明らかとなった。また、量子効率に影響を及ぼす因子として粒子のサイズや結晶子のサイズがあるため、本研究では、低温で結晶性の高い粒子を合成するために、フラックス塩の添加を検討した。本研究では、フラックス塩の種類や添加量がBCNO蛍光体の結晶性や量子効率に及ぼす影響を実験的に評価したが発光特性の向上に至らなかった。また、これまでの蛍光体の結晶構造解析より、副生成物として存在するB2O3が増加するにつれて、発光強度が低下することが確認されていたため、本研究では、B2O3が水溶性であることを利用して、合成した蛍光体を洗浄することでB2O3成分を溶解し量子効率を測定したが、逆に発光強度が低下することが明らかとなった。 (2)プロセスコストの削減を目指して、カーボン原として安価なクエン酸を用いたBCNO蛍光体の合成を検討した結果、均一かつ発光強度の高いBCNO蛍光体が合成できることが明らかとなった。 (3)ビーズミルプロセスによるナノ粒子の分散:二軸型の連続式ビーズミルプロセスを用いて、今年はモデルとして酸化物ナノ粒子のモノマー中への高濃度分散について検討を行った。ここでは、粒子濃度、ビーズミルの回転数、処理時間が分散液中の粒度分布、粒子の結晶構造へ及ぼす影響を実験的に評価し、結晶を維持して分散するために必要なビーズミル分散条件を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究のレアアースフリー酸窒化物蛍光体BCNOのi)高輝度化、ii)発光メカニズムの解明、iii)白色発光する蛍光体の合成という目的があるが、i) ii)については、平成24年度に達成されており、更にH25年度では、新たなアイディによる発光効率の向上を達成し、更に蛍光体粒子分散へ向けた分散プロセスの条件最適化を実施しおり、本研究は、おおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策について以下に示す。 1 BCNO蛍光体粒子の分散、ポリマーとのコンポジット化、白色LED用の発光素子の耐久性の評価 BCNO蛍光体の樹脂中への分散、コンポジット化について検討する。作製した樹脂を用いて白色LED用の発光素子の耐久性(耐光性、耐熱性、化学的安定性)についても評価し、最も高機能な性能が得られる各プロセスや操作パラメータの最適条件を見出す。 2 本プロセスの総合評価 ・以上の蛍光体粒子合成、ビーズミルによる分散、白色LED用発光素子の作製の結果をそれぞれ整理し、粒子合成条件、ポリマー中へ分散条件がデバイスの性能(主に変換効率と平均演色性)に及ぼす影響を明らかにし、BCNO蛍光体の白色LEDへの応用の可能性について評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
2014年度に実施する実験(合成装置の作製)と分析に使用する必要が生じたた め。 2014年度に実施する実験(蛍光体粒子分散装置の作製)と分析に使用する。 具体的には、蛍光体粒子を分散するためのビーズミル装置の改良を行うための材料費として使用する。また、2014年度に実施予定となった発光特性分析のための材料費などに使用する。
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