研究課題/領域番号 |
24656422
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
下山 巌 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (10425572)
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研究分担者 |
吉越 章隆 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (00283490)
寺岡 有殿 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (10343922)
関口 哲弘 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (20373235)
馬場 祐治 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (90360403)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ヘテロ原子ドーピング / 炭素触媒 / NEXAFS / 酸素還元反応 |
研究概要 |
H24年度は①ガスハンドリングシステムの製作検討と②Nドーピングした試料の分析を行った。①に関しては用いる反応性ガス・部品の選定、設計などの仕様を決定した段階にある。②に関しては、グラファイト(HOPG)基板にN2+イオン照射によるNドーピングを行い、XPSと電気化学測定による分析を行った。イオン銃から発生したN2+イオンビームをHOPG基板に照射し、イオンビームのフルエンスと基板温度を変えながら試料作製した。基板加熱にはYAGレーザーを用い、室温と710℃でのNドーピングを行った。また、ポストアニール効果を調べるため、室温照射した試料に対しYAGレーザーによるアニーリングを650℃、800℃で実施した。またイオンビームによる基板損傷の効果を調べるため、Ar+イオンビームを照射した試料についても比較実験を行った。これらの試料について硫酸0.5M水溶液中でのサイクリックボルタンメトリー(CV)測定を行い、酸素ガス置換した水溶液と窒素ガス置換した水溶液中でのCVの変化を調べた。Ar+イオン照射したHOPGでは両者に全く差がなかったのに対し、Nドーピングした試料では酸素ガス置換した水溶液中で還元電位が高電位側にシフトすることが観測された。この結果はNドーピングしたHOPG表面が酸素還元反応(ORR)の活性を持つ事を示唆している。還元電位はアニール温度と共に高電位にシフトし、より活性が高くなった。またフルエンスが高い試料において高い還元電位が得られた。XPS分析から炭素3配位のNサイトが活性に寄与することがわかった。また、710℃で高温ドーピングした試料と800℃でポストアニールした試料では高温ドーピングした試料の方が還元電位が高くなる結果が得られた。高温Nドーピングでは曲面構造が優先的に形成されることから、この結果は曲面構造がORR活性中心であることを示唆していると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.反応ガスハンドリングシステム作製に関しては設計が完了し、発注可能な段階にある。当初計画ではH24年度までに製作する予定であったが、使用する反応性ガスの再検討とそれに必要となるシステムの仕様変更のため若干の遅れが生じたが、H25年度後期からの実験には使用できると考えている。また、反応性ガスハンドリングシステムで用いるためのロータリーポンプについては既にH24年度購入した。 2.イオンビームによりNドーピングしたHOPGに対するORR活性はH24年度までの研究により確認しており、CVによる活性評価から高フルエンス、高温アニーリングを行った試料に対して活性が高くなることを見出した。また、当初の目的であった、ドーパントサイトでの平面構造と曲面構造の違いが活性に及ぼす影響についてもNドーピングについて既に曲面構造の示す高い活性が観測されておりNドーピング試料の研究についてはおおむね計画通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
1.NドーピングについてはH24年度得られた結果を基に研究を進める。現在までに高フルエンス、高温処理した試料に対して高い活性が得られているため、この実験結果の再現性を確かめる意味でも温度依存性とイオンビームフルエンス依存性に対する系統的なデータ取得を目指す。 2.反応性ガスハンドリングシステムを用いて三塩化リン,三塩化ホウ素, 四塩化ケイ素といったハロゲン化物、またチオフェンのような硫黄含有有機分子をソースガスとしたイオンビームドーピングを行う。これらの試料に対して実験室光源を用いたXPS測定を行い、放射光ビームラインでの実験の前にドーパント濃度と化学結合状態に関するデータを取得する。 3.Si、P、Sドーピングに対してはKEK-PF BL27AビームラインにおいてX線吸収分光法を用いた化学結合状態分析を行い、温度やフルエンス等のドーピング条件と平面・曲面構造等の立体配置との関係を明らかにする。Bドーピングに関してはKEK-PF BL11Aビームラインにおいて同様の実験を行う。 4.ドーピング条件の異なるこれらのグラファイト試料に対して電気化学測定を行いORR活性の評価を還元電位に基づいて行う。 5.トリメチルホスフィン等のハロゲン化物以外のソースガスを用いた場合の化学結合状態についても検討を行い、ORR活性との関連性を調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
1. 仕様を決定した反応性ガスハンドリングシステムを製作する。これに約110万円を要する。 2. ブラジル、リオデジャネイロで開催されるCarbon2013及び国内で開催される学会において研究成果を発表する。このための旅費、宿泊費、参加費に約60万円を要する。 3. 放射光実験のための物品移送費や旅費などに約20万円を要する。
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