平成25年度は応用研究に重点を置き、(1)複数の機能の特徴を利用したセンサ・アクチュエータの設計(2)複合機能デバイスの試作・評価の2つの研究を実施した。 (1) 複数の機能の特徴を利用したセンサ・アクチュエータの設計では、有限要素法ソフトANSYSを利用することにより、それぞれの効果が連星して起こる場合の評価を行った。4つの効果は独立しておらず、熱や力を媒体にそれぞれが連星しておくため、4つの効果が打ち消しあうことも想定された。しかし実際にはそれぞれを用いる環境により同じ力であっても、静的な力と動的(振動的)な力によって、それぞれの効果を分けることが可能であることを示すことができた。 (2)複合機能デバイスの試作・評価試験では実際に作成した機能デバイスをセンサやアクチュエーターとして利用した時に、発生する電荷、力を測定し、それぞれの単体でセンサやアクチュエータに利用した場合との比較研究を行った。個々の性能のばらつきが大きく厳密なデータを得ることはできなかったが10%~30%程度の性能の減少が見られた。この結果からもわかるように複合化することにより個々の性能自体は減少するが、多機能化という面を考えればその性能劣化は十分補うことが可能である。 またその他の研究として、引き続き水熱合成法装置の改良を進めることにより、PZT薄膜の性能向上をめざした。従来から行われているチタン基板上への製膜に比べ、ニッケルチタン上への製膜は界面が弱く剥離が起こりやすいという欠点があった。これらの欠点を克服するために水熱合成を行う前処理として、硝酸溶液による洗浄工程を行うことにより界面剥離の影響を軽減することに成功した。
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