H25年度は、少なくとも3次元量子ドット太陽電池形成のための基板形成プロセスおよびデバイス作製プロセスの確立を行う。特に、基板は多層トンネル接合PIN型Si太陽電池基板を形成する必要があり、P型Si基板を用いて、これに、熱酸化膜(1nm厚)、LP-CVDによるpoly-Si膜(10nm厚)、LP-CVDによるSiO2膜(1nm厚)、Pドープpoly-Si膜(50nm厚)の形成など薄膜制御方式を確立する。さらに、この基板に平成24年度に開発した(1)から(3)の微小ドット形成技術によるドットパターンをマスクに3次元量子ドットSi太陽電池を試作し、その太陽電池特性を計測し、理論と実際を比較することを目標に研究を進めた。その結果、素子試作まで至らなかったが、最低限必要なプロセス技術は確立した。以下に得られた成果を示す。 1) 基板形成プロセスとして、PIN構造でP型SiとLPCVDによって形成された真性Si層との間、また、薄膜Si層とN型Si層との間にトンネル電流が得られる薄膜絶縁膜(SiO2)を形成し、これを多層に積層する多層トンネル接合接合型PIN太陽電池基板の作成、およびその太陽電池特性を評価し、最終的には、3次元量子ドット太陽電池用基板の構造を決定した。試作では、絶縁膜の膜厚の決定、多層構造の影響などを調べ、絶縁膜厚1nm、3層構造までは、太陽電池特性が出ることを確認した。 2) 上記はZ軸方向の量子ドットのため基板構築であり、平面的に量子ドットを作成するデバイス作成プロセスを構築した。電子線描画では達成できない10nm径以下のドット列形成を自己組織化法で行い、これを、SF6+O2プラズマエッチング耐性のあるカーボン膜に転写して、最終的には多層膜基板を加工するプロセスを確立した。
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