研究課題/領域番号 |
24656438
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
齋藤 永宏 名古屋大学, グリーンモビリティ連携研究センター, 教授 (00329096)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ナノクラスター / 合金 / ソリューションプラズマ / 触媒 |
研究概要 |
本研究では、有機系溶媒中で、金と白金を対峙させた異種金属電極系を用い、導電性カーボン材料に担持した粒径1nm の単分散性金白金合金ナノクラスターを一段階で合成し、電極触媒系として応用することにより世界最高レベルの放電容量を有するリチウム-空気電池の開発に挑戦する。金による酸素還元反応、白金による酸素発生反応速度の増大をはかる。また、触媒作用・触媒被毒過程等の反応機構を解明を提示し、金属空気電池に関わる不可逆反応の改善に資する知見の獲得をめざす。 本年度は、金白金合金ナノクラスター精密合成・担持一括プロセスの開発を目指した。 ① 金と白金の組み合わせによる異種金属電極から金白金合金ナノクラスターを合成し、金による酸素還元反応、白金による酸素発生反応速度を同時に高速化可能な多機能性ナノクラスターの開発をおこなった。 ②電極間距離の変動にともなうナノクラスターの粒径の粗大化・多分布化を抑制するために、プラズマプロセス中の最電極間電流をリアルタイムで計測し、その結果をプラズマ装置に取り付ける電極送り出し機構へフィードバックする、自律制御システムを構築した。③ナノクラスターの合成と担持体への固定化を一括して行った。具体的には、ソリューションプラズマ処理することにより分散させたカーボンブラック水溶液中において、金及び白金を電極としたグロー放電スパッタ法によるナノ粒子担持カーボン触媒の合成を行った。保護材を要しないため、清浄な理想三相界面が得られることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画に沿って、順調に研究が進捗している。さらに、本年度は金-白金合金クラスターのみならず、他の合金系にも着手しており、当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
合成したナノクラスター担持ナノカーボンの多機能性触媒としての機能をサイクリックボルタメトリ―法により評価する。具体的には、白金による原子状酸化被膜の還元、および金による原子状酸化被膜の還元電位により評価する。また、電気化学的活性表面積の算出から、本プロセスの特徴である保護剤フリーであることによる優位性を明らかにする。このとき、既報に従い合成した、従来の化学還元法により合成する金白金合金ナノクラスターとの性能比較をおこない、その有用性を明らかにする。②本研究で作製した金白金合金ナノクラスター担持カーボンを空気極とするリチウム-空気電池を試作し、金触媒による放電時の過電圧の減少および白金触媒の添加による充電時の過電圧の減少を確認し、その触媒効果を明らかにする。電池の構成は、既に研究室内において実績のある、汎用的な組み合わせでおこなう。③金白金合金ナノクラスターの組成比の制御について検討する。金と白金の合金は、バルクで得られている状態図をそのまま転用すると、単一クラスター内において、固溶体や金属間化合物を形成することなく、各成分それぞれが独立している共晶をとると考えられる。そこで、組成比の異なる合金ナノクラスターを合成し、電池性能の立場から、最適な組成比を求める。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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