炭素複合材料の溶接接合に対して、炭化ホウ素(B4C)を溶剤として用いることが可能かどうかを実験的に研究した。焼結グラファイトおよびグラッシーカーボンとB4Cを接触させ、半導体レーザを用いて局所的に加熱することにより、両者の溶融接合が行われることを確認した。 B4Cと炭素の合金の溶融状態における原子配置を明らかにするため、ガス浮遊レーザー加熱装置とX線散乱計測装置を組み合わせた高温融体構造解析装置を開発した。また、レーザー加熱のための半導体レーザーと高純度ガス精製装置を有するグローブボックスを組み合わせた溶融試験装置を整備した。これらの装置を用いて、B4Cをはじめとする高融点セラミックスや高融点金属の溶融凝固・構造解析が可能であることを確認した。 溶融組織を実体顕微鏡およびSEMで観察したところ、共晶合金の溶融凝固においてみられるようなラメラ組織が発現することが確認された。添加元素としてシリコンを添加した結果、ラメラ組織の特定の部分にシリコンが集まっていることが確認された。接合強度の具体的な数値化には至らなかったが、断面の切断や研磨などに耐えうる程度の強度を有していることが確認された。具体的な接合強度の数値化については、本成果を踏まえた今後の研究において明らかにする。
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