研究課題/領域番号 |
24656467
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
入谷 英司 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60144119)
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研究分担者 |
片桐 誠之 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00345919)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 可逆凝集 / 超高圧圧搾 / 廃棄物 / 汚泥 / 減量化 / pH / 電解質 / 脱水 |
研究概要 |
本研究では、産業廃棄物の中で最大の排出量割合の汚泥を減量化するための革新的脱水技術として、可逆凝集と多段超高圧圧搾とを融合させた脱水法を提案し、難脱水性汚泥の高速減量化の可能性を探究する。具体的には、汚泥を緩く凝集させて粗大フロックを形成させ、0.1~0.5 MPaの低圧下で圧搾して自由水を迅速に除去し脱水ケークを得た後、可逆凝集によりフロックを崩壊させ、さらに圧力のステップ増加により5~50 MPaの超高圧を多段で作用させ束縛水を除去し極低含水率ケークを得て、汚泥の高速減量化を図る。難脱水性有機汚泥として下水余剰汚泥を例にとり、pH調整や電解質添加による可逆凝集法を検討し、低圧圧搾での高速脱水と超高圧圧搾での含水率低減化への効果を確認した。その結果、多価イオンの無機電解質の添加による凝集操作が、低圧圧搾速度の顕著な増大を引き起こすことが明らかとなった。また、透水による可逆凝集の効果も顕著で、引き続いて行った50 MPaの超高圧圧搾と組み合わせて、ケーク含水率を最終的に23 %まで低減でき、減量化の程度で数値化すると、99.87 %の減量化が達成された。この結果は、現存技術の最高水準である60 ~ 70 %を遙かに凌いでおり、併せて脱水速度の観点からも満足のいくもので、本技術が脱水時間と脱水度の両面から、現存技術に比べ格段に優れていることを実証した。また、微生物細胞内の水分が70 ~ 80 %であることを考えると、この23 %という低い含水率は、単にフロックの崩壊による汚泥粒子間の自由水や粒子表面の付着水だけでなく、細胞内に含まれる束縛水も除去されていることを示している。超高圧圧搾におけるケーク脱水挙動のモデル化も可能となり、種々の操作条件における脱水性能の推算に寄与するものと期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
従来技術と比較して、含水率を大幅に小さくすることができる脱水法が確立でき、提案プロセスの最適操作のための指針が得られつつある。
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今後の研究の推進方策 |
順調に成果が得られているので、当初の計画に従って研究を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は当初の計画より低予算で成果を得ることができた。次年度は繰越金を利用して技術補佐員を雇い、様々な手法の検討を行い、最適な脱水法および操作条件を確立する。
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