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2012 年度 実施状況報告書

層界面に無機フィラーを制御配置した高機能高分子多層フィルムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 24656473
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関九州大学

研究代表者

梶原 稔尚  九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10194747)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード高分子多層フィルム
研究概要

高分子多層フィルムは,異種高分子の多層化により単一材料のフィルムでは達成できない複数の機能を持たせることにより高機能化を図ったものである。多層フィルム製造には流路内で複数の溶融高分子を合流・積層した後,ダイ流出後に引取る共押出成形が用いられるが,高分子の組合せや成形条件によっては界面不安定が生じ多層化ができない。もし,異種高分子間に無機材料を配置し,高分子の界面挙動を制御することができれば,従来製造不可能であった新規の多層フィルムの製造が可能になる。また,繊維,平板状の各種無機材料を界面に配向制御して配置できれば,光学特性など新たな機能付与が可能になる。本研究では,各種の異種高分子の界面層に各種無機材料を配置した多層フィルムを作成し,レオメータによる界面層のレオロジー特性評価と,共押出実験による界面不安定の発現や多層フィルムの機械・光学物性について,無機材料配置との関係を明らかにする。
平行円盤レオメータを用いて,多層フィルムのレオロジー特性を測定し,種々の高分子の組合せに対する,各種の無機材料の効果について基礎検討を行った。その中で,層間の接着性や安定性に効果がある組合せの探索と考察を行った。レオメータによる多層フィルムのレオロジー評価については,具体的に以下のことを行った。まず,2種類の高分子A,Bを溶融後プレスしてフィルムを作成した。得られた多層フィルムを平行円盤レオメータの円盤間に装着し所定の温度に加熱後,これまで2層フィルムで研究を行ってきた線形領域での動的粘弾性測定を行った。同様にAおよびB単独のフィルムと,AとBの高分子フィルムのみを貼り合わせたサンプル(界面の無機材料なし)について動的粘弾性測定を行った。A層のみ,B層のみ,(A+B)層,(A+B)層の動的粘弾性データから,界面状態についての考察を行った。以上の検討を,各種の高分子の組合せに対して行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度の研究実施計画の一部を行い,
研究論文1報を学術誌に掲載した.また,これについて4件の学会発表を行い,
一定の進展を得た.

今後の研究の推進方策

平行円盤レオメータを用いて,多層フィルムのレオロジー特性を測定し,種々の高分子の組合せに対する,各種の無機材料の効果について基礎的検討を行う。その中で,層間の接着性や安定性に効果がある組合せの探索と,そのメカニズムの考察を行う。その実験と平行して,共押出成形実験装置の製作を行い,多層フィルムの共押出が可能になる操作手法を確立する。平行円盤レオメータによる多層フィルムのレオロジー評価については,具体的に以下のことを行う。まず,2種類の高分子A,Bを溶融後プレスしてフィルムを
作成する。無機粒子を分散させた溶液を両方の高分子フィルムの片面にコーティングした後溶媒を蒸発させ,コートした面を貼り合わせて多層フィルムを作成する。得られた多層フィルムを平行円盤レオメータの円盤間に装着し,所定の温度に加熱した後,レオロジー測定を行う。同様にAおよびB単独のフィルムと,AとBの高分子フィルムのみを貼り合わせたサンプル(界面の無機材料なし)について動的粘弾性測定を行う。A層のみ,B層のみ,(A+B)層,(A+無機材料+B)層の動的粘弾性データから,無機材料の存在の有無によるA-B界面層の粘弾性の違いを解析し,界面状態についての考察を行う。以上の検討を,各種の無機材料(シリカ粒子,アルミ粒子,チタニウム粒子など)および各種の高分子の組合せ(HDPE,LDPE,PP,PBT,PDMSなど)に対して,無機材料濃度を変えて行う。測定後のサンプルを液体窒素で冷却・剥離を行い界面のSEM写真から界面状態を考察する。共押出成形装置の製作では,A層,無機材料の溶液層,B層を合流・多層化させる多層ダイを製作する。ダイから押出された溶融状態のフィルムは低温で空気冷却されるとともに引取ロールで薄膜化される。上記の実験系を,まずA,Bの両層を同一材料とし,かつ中間層のない安定な系で操作できるように完成させる。

次年度の研究費の使用計画

該当なし。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Dynamic Shear Responses of Polymer-polymer Interfaces2012

    • 著者名/発表者名
      Yasuya Nakayama, Kiyoyasu Kataoka, Toshihisa Kajiwara
    • 雑誌名

      Nihon Reoroji Gakkaishi

      巻: 40 ページ: 245-252

    • DOI

      10.1678/rheology.40.245

    • 査読あり
  • [学会発表] 高分子間界面の動的粘弾性2013

    • 著者名/発表者名
      名嘉山 祥也, 梶原 稔尚
    • 学会等名
      化学工学会第78年会
    • 発表場所
      大阪大学豊中キャンパス
    • 年月日
      20130317-20130319
  • [学会発表] 2相高分子界面のレオロジー2012

    • 著者名/発表者名
      名嘉山祥也,梶原稔尚
    • 学会等名
      プラスチック成形加工学会 平成24年度第2回押出成形専門委員会
    • 発表場所
      五反田文化会館
    • 年月日
      20121121-20121121
  • [学会発表] 高分子間界面の動的応答2012

    • 著者名/発表者名
      名嘉山祥也、梶原稔尚
    • 学会等名
      日本物理学会2012年秋季大会
    • 発表場所
      横浜国立大学
    • 年月日
      20120918-20120921
  • [学会発表] Dynamic Shear Modulus of a Polymer-Polymer Interface2012

    • 著者名/発表者名
      Yasuya Nakayama, Kiyoyasu Kataoka, and Toshihisa Kajiwara
    • 学会等名
      The XVIth International Congress on Rheology
    • 発表場所
      Lisbon, Portugal
    • 年月日
      20120805-20120810

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公開日: 2014-07-24  

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