研究課題/領域番号 |
24656475
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
福井 啓介 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50047635)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 高圧力 / 粘度 / 動的光散乱 |
研究概要 |
最大4000気圧まで昇圧できる高圧力装置を製作した。また、動的光散乱法を応用した流体粘度の測定システムを完成させた。これら2つの装置を1つのシステムとして使用可能な状態である。超高圧力下で、動的光散乱法を適用したものは市販品も含め、現存しない。なお、測定時の圧力と温度はリアルタイムで計測できる。装置の安定性と測定精度を評価するため、試料として水を使用した。ブラウン粒子として、粒径が均一で既知である標準粒子(ポリスチレンラテックス、20nm)を試料である水に0.1wt%懸濁させた。最大4000気圧までの流体粘度を測定した結果、既存のデータと良く一致し、測定装置の安定性と精度が十分であることを確認した。流体粘度を上記の方法で測定するには、懸濁させる粒子の粒径または粒径分布が既知量であることが必要である。懸濁させる粒子の粒径分布は、粘度が既知である流体を用いて簡単に求められる。使用する粒子の粒径分布が広い場合には、自己相関関数を計測するためには多くの(計測用コンピュータの)メモリーを使用するため計算時間が長くなる。そのため、自己相関関数の遅延時間を多数併用できるマルチタウ法を適用し、その解析ソフトを構築した。従って、使用できる懸濁粒子(ブラウン粒子)の選定がより容易になった。バイオディーゼル燃料として使用可能な廃油のモデル物質としてトリオレインとステアリン酸の混合油、軽油のモデル物質とトルエンを選定した。各油に適したブラウン粒子の選定には時間を要したが、最適な市販品を入手できた。現在、前述のようなバイオディーゼル燃料関連油の流体粘度を測定し、その圧力依存性を考察しており、今秋には学会にて発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H24年度の目標は、高圧力でのBDFの凝固点計測と粘度測定システムの開発・評価である。凝固点は4方窓付高圧装置であるため、容易に光学システムを組むことができる。概要で述べたように高圧力装置と粘度計測用光散乱システムがほぼ完成し、予定通り進展している。さらに、標準粒子を使用した水の粘度測定結果より、高圧装置と粘度計測も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
測定装置のハード面の設計と製作はほぼ予定通り進展しており、装置のコンパクト化、自動測定など実用化に向けた、装置や光学系の改良を行って行く。測定対象であるバイオディーゼル燃料関連物質の選定とそれに適したブラウン粒子の選定を進め、高圧力での上記液体粘度と凝固点の測定と評価を研究計画に従って進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額である約33万円は測定装置を改良するための物品に使用する。H25年度の直接経費90万円はレーザを使用した凝固点の計測用物品、測定装置の改良、薬品類の購入などに使用する予定である。
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