最大4000気圧での液体粘度の測定技術は、バイオ関連油のディーゼルエンジンへの適用には不可欠な技術である。このような超高圧下での流体粘度の測定は、高精度な非接触測定技術を構築することにより、実現できる。本研究で提案した動的光散乱法による相対粘度(高圧下の粘度と常圧下の粘度の比)の測定技術は、光子数の時間的変化から求められる自己相関関数の減衰率の比として、高精度で容易に計測できる。実際のモデル油を想定して、トリオレイン(バイオ燃料の主成分)とキシレン(軽油の主成分)の混合油を用い、混合比率、温度、圧力を操作因子として、相対粘度を測定した。相対粘度の圧力依存性は、圧力の関数として線形的な関係で表現できることを明らかにした。将来的には、本計測システムにより、他の液体燃料の高圧下で粘度計測を可能にし、エンジン性能の向上に有用であると考える。また、測定試料である液体は、1から3cc程度の微量で十分で、試料の交換も容易に行えるシステムである。さらに、運動する物体を計測装置に設置せずレーザを使用した非接触測定であり遠隔操作で自動計測が可能となる。
|