研究課題
水処理の高速化を可能にする吸着剤微粒子を包埋した高分子モノリスフィルターを開発することを目的として、無機吸着体の特異的吸着選択性に焦点を当てて、当研究室で開発しているヒ素の高性能吸着剤である酸化チタン微粒子を用いて、酸化チタン微粒子を内包した高分子モノリスを作製する方法を確立するとともに、高分子モノリスを水処理フィルター用成形体に加工する技術を開発する。本年度は、基礎的研究として以下の研究を行った。(1) 酸化チタン微粒子を内包した高分子モノリスの作製酸化チタン微粒子の合成は、四塩化チタンとアルカリ源を混合して調製した水酸化チタンを、過酸化水素にてアモルファス酸化チタンへと変換した後に、水熱合成法にてアナタース酸化チタン微粒子を調製した。種々の条件で調製した酸化チタン微粒子とPMMAを80%エタノールに懸濁させ、60℃に温めてPMMAを溶解させ、その後冷却することによって相分離を誘発させ微粒子を内包したモノリス体を作製し、PMMAの分子量や冷却温度(40℃、4℃、-29℃)に対する多孔体中の細孔径と空隙率、酸化チタン微粒子の内包量との関係を明らかにした。また、酸化チタン微粒子内包高分子モノリスの形態観察と結晶構造は走査型電子顕微鏡および粉末X線回折装置を用いて行った。(2) 酸化チタン微粒子内包高分子モノリスによるヒ素の吸着分離性能の評価種々の条件下で作製した酸化チタン微粒子内包高分子モノリスのヒ素の吸着特性を評価し、酸化チタン微粒子本来のヒ素吸着特性との比較検討を行った。ここでは、ヒ素のみを含有する水溶液を供給溶液とし、吸着のpH依存性について検討すると共に、吸着等温実験および吸着速度実験を行い吸着特性の評価を行った。加えて、吸着後のヒ素を定量的に溶離する手法も確立した。
2: おおむね順調に進展している
本研究は2年計画であり、初年度の基盤的研究、2年度の応用的研究を予定している。平成24年度は、ヒ素の高性能吸着体である酸化チタン微粒子を内包した高分子モノリスの作製法の確立とヒ素の吸着分離性能の評価について研究を行うなど、ほぼ基礎的研究は完了することができた。
平成25年度は、平成24年度に引き続き、(1)~(2)の吸着剤微粒子内包高分子モノリスの作製の研究は継続して行うが、それに加えて、以下のような水処理フィルター成形体への加工および廃水浄化性能の評価研究も行い、フィルターの作製条件の最適化へフィードバックする。これに続いて、ヒ素を含有する実地下水を供給溶液としての実証試験も行い、ヒ素の吸着挙動について実験条件の影響について詳細に調べ、ヒ素の高速吸着除去プロセスへの適用性について検討する。
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Ion Exchange Letters
巻: 5 ページ: 1-5
10.3260/iel.2012.08.001
Journal of Ion Exchange
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http://www.kitakyu-u.ac.jp/env/subject/d-energy/Kazuharu_Yoshizuka/index.html
http://chemeng.env.kitakyu-u.ac.jp/jp/index_j.html