吸着剤微粒子を内包した高分子モノリスの開発と水処理フィルターとしての応用

2013 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 24656476
• 研究機関: 北九州市立大学
• 研究代表者: 吉塚 和治 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (70191567)
• キーワード: 反応・分離工学 / 吸着・イオン交換 / ヒ素 / 酸化チタン / 高分子モノリス / 水処理

研究概要

水処理の高速化を可能にする吸着剤微粒子を包埋した高分子モノリスフィルターを開発することを目的として、無機吸着体の特異的吸着選択性に焦点を当てて、ヒ素の高性能吸着剤である酸化チタン微粒子を用いて、酸化チタン微粒子を内包した高分子モノリスを作製する方法を確立するとともに、高分子モノリスを水処理フィルター用成形体に加工する技術を開発するものである。本年度は、応用的研究として以下の研究を行った。
(1) 酸化チタン微粒子内包高分子モノリスによるヒ素の吸着分離性能の評価
種々の条件下で作製した酸化チタン微粒子内包高分子モノリスのヒ素の吸着特性を評価し、酸化チタン微粒子本来のヒ素吸着特性との比較検討を行った。ここでは、ヒ素のみを含有する水溶液を供給溶液とし、吸着のpH依存性について検討すると共に、吸着等温実験および吸着速度実験を行い吸着特性の評価を行った。加えて、吸着後のヒ素を定量的に溶離する手法も確立した。
(2) 吸着分離装置によるヒ素廃水の浄化性能の評価
以上の結果を基に、自作の吸着分離装置とポンプなどを組み合わせ、ヒ素廃水中からのヒ素の吸着分離装置を設計・製作した。水処理カートリッジは、カラム用高分子モノリス成形体を用いて作製した。まず初めに、ヒ素のみを含有する水溶液を供給溶液としてヒ素の流通式分離除去実験を行い、ヒ素の吸着分離特性と吸着速度について定量的に明らかにし、最適な吸着性能を得られる条件を確立した。続いて、ヒ素を含有する実地下水を供給溶液としての実証試験も行い、ヒ素の吸着挙動について実験条件の影響について詳細に調べ、ヒ素の高速吸着除去プロセスへの適用性について検討した。

研究成果

• [雑誌論文] Thermal-Swing Adsorption of Europium(III) with Poly(N-isopropylacrylamide) Combined with Acidic Extractant (2014)
  • 著者名/発表者名: Nishihama, S., Matsunaga, S., Takayama, S., Ookubo, T., Yoshizuka, K., Fujigaya, T., Nakashima, N.
  • 雑誌名: Solvent Extraction Research and Development, Japan 巻: 21(1) ページ: 34-45
  • 査読あり
• [雑誌論文] Separation of Tetramethyl Ammonium Hydroxide Using an MFI-Type Zeolite-Coated membrane (2013)
  • 著者名/発表者名: Nishihama, S., Tsutsumi, Y., Yoshizuka, K.
  • 雑誌名: Separation and Purification Technology 巻: 120 ページ: 129-133
  • DOI: 10.1016/j.seppur.2013.09.040
  • 査読あり
• [雑誌論文] Separation of Lanthanum and Cerium Using a Coated Solvent-Impregnated Resin (2013)
  • 著者名/発表者名: Nishihama, S., Kohata, K., Yoshizuka, K.
  • 雑誌名: Separation and Purification Technology 巻: 118 ページ: 511-518
  • DOI: 10.1016/j.seppur.2013.07.047
  • 査読あり
• [雑誌論文] Selective Recovery of Valuable Metals from Spent Li-ion Batteries Using Solvent-Impregnated Resins (2013)
  • 著者名/発表者名: Guo, F., Nishihama, S., Yoshizuka, K.
  • 雑誌名: Environmental Technology 巻: 34(10) ページ: 1307-1317
  • DOI: 10.1080/09593330.2012.746734
  • 査読あり
• [雑誌論文] Separation and Recovery of Nickel from Waste Electroless Nickel-Phosphorous Plating Solution (2013)
  • 著者名/発表者名: Ookubo, T., Nishihama, S., Yoshizuka, K.
  • 雑誌名: Solvent Extraction Research and Development, Japan 巻: 20 ページ: 149-157
  • URL: http://www.solventextraction.gr.jp/serdj/index.html
  • 査読あり
• [学会発表] Separation and Recovery of Lithium with λ-MnO2-Supported Polymeric Monolith Adsorbent
  • 著者名/発表者名: Takayama, S., Nishihama, S., Yoshizuka, K.
  • 学会等名: 2nd International Conference of Methods and Materials for Separation Processes "Separation Science; Theory and Practice 2013"
  • 発表場所: SWIERADOW ZDROJ、ポーランド
• [学会発表] Arsenic Removal from Groundwater by Several Adsorbents
  • 著者名/発表者名: Yoshizuka, K., Park, J., Shibata, K., Nishihama, S.
  • 学会等名: 2nd International Conference of Methods and Materials for Separation Processes "Separation Science; Theory and Practice 2013"
  • 発表場所: SWIERADOW ZDROJ、ポーランド
  • 招待講演
• [学会発表] λ-MnO2担持モノリス吸着剤によるリチウムの吸着
  • 著者名/発表者名: 高山誠太郎、西浜章平、吉塚和治
  • 学会等名: 第50回化学関連支部合同九州大会
  • 発表場所: 北九州国際会議場
• [学会発表] 抽出剤を固定化した感温性高分子を利用した環境調和型吸着システムの開発
  • 著者名/発表者名: 西浜章平、松永理美、高山誠太郎、大澤佳代、大久保祝絵、吉塚和治
  • 学会等名: 化学工学会第45回秋季大会
  • 発表場所: 岡山大学
• [学会発表] 高分子モノリスを担体とする吸着剤の調製とイオン交換特性
  • 著者名/発表者名: 吉塚和治、柴田加奈子、高山誠太郎、西浜章平
  • 学会等名: 第29回日本イオン交換研究発表会
  • 発表場所: 東北大学
• [備考] 北九州市立大学国際環境工学部／エネルギー循環化学科／吉塚和治
  • URL: http://www.kitakyu-u.ac.jp/env/subject/d-energy/Kazuharu_Yoshizuka/index.html
• [備考] 北九州市立大学国際環境工学部分離工学研究室
  • URL: http://chemeng.env.kitakyu-u.ac.jp/jp/index_j.html
• [備考] 北九州学術研究都市研究者情報検索システム／吉塚 和治／北九州市立大学国際環境工学部
  • URL: http://fais.ksrp.or.jp/05kenkyusha/srchresult.asp?ID=k-yoshizuka01