研究課題/領域番号 |
24656477
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
増田 隆夫 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20165715)
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研究分担者 |
多湖 輝興 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20304743)
中坂 佑太 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30629548)
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キーワード | バイオマス / グリセリン / エチレングリコール / エリスリトール / 多価アルコール / ギ酸 / 酸化鉄系触媒 / ブタジエン |
研究概要 |
本研究では,直鎖多価アルコールから,二重結合を有するアリル化合物の直接合成を可能とする触媒反応プロセス開発を実施する.触媒としては,酸化鉄(Fe2O3)を基材とし,酸化活性の向上を目的とした成分(MOx:ジルコニアなど)と塩基性の賦与を目的とした成分(アルカリ金属)を担持した触媒を開発する. 平成24年度の成果により,酸化鉄系触媒を用いるとグリセリン水溶液の反応では,水素移行反応によりアリルアルコールが得られることを見出している.さらに,水素供与体であるギ酸を反応系に併給するとギ酸由来の活性水素種により水素移行反応が促進され,アリルアルコール収率が向上した.さらに,触媒にKを担持すると触媒酸点上で進行する副反応の脱水反応が抑制されることが分かった.そこで, 平成25年度は本触媒をグリセリン以外の多価アルコールからの有用化学物質の合成に適用した.グリセリンは炭素数3であるため,反応原料として新たに炭素数2のエチレングリコール(2つの水酸基)と炭素数4のエリスリトール(4つの水酸基),そして芳香族としてカテコールを用いた.また,触媒として酸性制御の観点からK-ZrO2-FeOxの他にK-FeOx,K-Al2O3-FeOx,K-TiO2-FeOxを調製して研究に用いた.エチレングリコールとギ酸の混合物を原料とした場合,期待されるように主生成物としてエチレンが水素移行反応により得られた.K-Al2O3-FeOxを用いた場合,最も高いエチレン収率が得られた.これは,Al2O3による水素スピルオーバーによって水素が効率的に使用されたためと考えられる. エリスリトールとギ酸の混合物をK-Al2O3-FeOxを触媒として反応をすると,水素移行反応によりエリスリトールからはブタジエンが,カテコールからはフェノールが高い収率で得らることに成功した.
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