研究課題/領域番号 |
24656478
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
向井 紳 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70243045)
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研究分担者 |
荻野 勲 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60625581)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 化学工学 / 触媒 / ゼオライト / ハイドロタルサイト / グラファイト |
研究概要 |
金属水酸化物やグラファイトからなる層状化合物を層剥離する事によって得られるナノシートは、吸着剤、触媒さらに電子材料など様々な分野での応用が期待されている。層状化合物の層剥離には、層状化合物の種類の違いによって様々な手法が採用されているが、従来技術では十分なナノシート収率を得るために層膨潤処理に1週間程度要したり、また超音波処理により層状化合物自体が破壊されたり、さらに剥離処理に非常に高いpH条件を必要とする場合があるなど様々な問題があった。そこで,本研究では,水が凍結する際に起こす体積膨張に着目し、この現象を用いた新しい剥離法を開発することを目的としている。 本年度はまず層剥離に用いる層状化合物としてゼオライト層状前駆体MCM-22(P)やMgとAlを主成分とする層状復水酸化物(ハイドロタルサイト)の合成を行った。次に各層状化合物の層間をより親水性の高い有機物に置き換えるため,まずは,Mg/Alハイドロタルサイト層間のアニオンを親水性物質(酒石酸,リンゴ酸,クエン酸など)に置き換えることを試みた。試料粉末をこれらいずれかの親水性物質を含む水溶液(pH = 10)に懸濁させ一定時間撹拌することで親水性物質の層間へのインタカレーションを試みた。しかし,インタカレーションがうまく進行しないことが判明したため,ハイドロタルサイト合成時にこれら物質もしくはポリアクリル酸やアルギン酸を混在させ,層間に親水性有機物を含む層状化合物の合成を試みた。得られた試料の粉末X線回折測定を行ったところ期待した通り有機物の存在による層間拡張が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水の凍結を利用した層剥離を行う上で重要となる層状化合物層間への親水性有機化合物の導入に関し,合成時に有機物を導入するという手法により達成し,第一段階をクリアできたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は前年度の検討で得られたナノシートを含む水溶液に氷晶テンプレート法を適用し、ナノシートをマイクロハニカム状のモノリス体に成型する。 [マイクロハニカム状モノリス体への成型] 剥離された層と有機化合物を含有する水溶液に必要があればシリカゾルを加え湿潤ゲルを調製する。得られたゲルを一方向凍結する事でマイクロハニカム状のモノリス体に成型する。得られたモノリス体を焼成し、さらにイオン交換して酸型の試料を得る。 [マイクロハニカム状モノリス体の評価] 得られた材料の酸点の評価は、現有のフーリエ変換赤外分光計を用い、各種塩基性プローブ分子を用いて行う。また、細孔構造の分析は、現有の窒素ガス吸着装置を用いて行う。 [層状化合物の合成と凍結剥離法の応用] 本手法は種々の層状化合物にも適用であると考えられるため、合成経験のあるハイドロタルサイト類化合物を始め各種化合物を合成し、剥離法を適用する。膨潤に使用する化合物として層と反対電荷(ハイドロタルサイトであれば、カルボキシル基を有する活性剤や高分子化合物)を有したものを使用する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は485円となっているが、この金額の物品は平成24年度内に発注し、既に同年度内に納品されている。支払が平成25年度に入って行われているために計上されている金額である。発注、納品ベースでは研究費は計画通り使用されており、平成25年度も当初の計画通りに研究費を使用する予定である。
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