研究課題/領域番号 |
24656481
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
外輪 健一郎 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (00336009)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | マイクロリアクタ / 液液反応 / ジアゾカップリング反応 |
研究概要 |
陽イオン交換樹脂を用いたエステル加水分解反応および相間移動ジアゾカップリング反応を例にとり、提案するバッチ-マイクロ融合型反応システムの特性を評価した。エステル加水分解反応の実験では、本検討の範囲内では、提案法が有効であることは確認できなかった。一方、相間移動ジアゾカップリング反応では有効性が確認された。例として具体的に実施した反応は、レソルシノールとジアゾニウム塩のカップリング反応であり、水に不溶の生成物を生じる。原料となるレソルシノールは酢酸エチル中に、ジアゾニウム塩は水中に仕込み、これらを接触させて反応を行った。フラスコを用いた実験に比べて、提案する反応システムを使った場合の方が反応がより速く進行することが確認された。これはマイクロリアクタを組み合わせている効果が発揮され液液の接触効率が向上したためである。さらに、副生成物の生成量がより少なくなっていることも確認された。取り上げた反応は、水相中で進行するため生成物はまず水相中で生成するが、水に不溶のため有機相中へ抽出される。この抽出が進行しなければ生成物がジアゾニウム塩とさらに反応して副生成物を生じてしまうが、マイクロリアクタの活用によって、生成物の抽出過程も促進されたと考えられる。バッチ反応器と組み合わせるマイクロリアクタの条件について検討したところ、流路を長く、かつ本数を増大させると提案法の効果がより大きくなった。さらに、マイクロリアクタのみをナンバリングアップした場合との比較検討を行った結果、提案法では活用するマイクロリアクタの本数を大幅に抑えた条件で同等の生産性を実現できる可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の研究はほぼ計画通りに進んでいる。当初計画していた陽イオン交換樹脂を用いた酢酸エチルの加水分解反応について検討を完了した。この系では、提案法の効果がほとんど見られなかった。そこで相間移動ジアゾカップリング反応を中心に検討を進めることとしたが、提案法の効果が発揮され、さらに流路長さや本数などの条件が全体の性能に及ぼす影響を明らかにすることができた。以上より平成24年度の計画は達成されているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の検討でエステル加水分解反応には提案法の有効性が確認されなかった。当初の予定では、平成25年度に各種のエステル加水分解反応について検討を進める予定になっていたが、これは行わず、代わりに相間移動カップリング反応を利用して装置性能の詳細な解析を進めるほか、平成26年度に計画していた気液固反応への展開の検討を前倒しして開始する。
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次年度の研究費の使用計画 |
繰越額は、平成24年3月に購入した物品の支払いが済んでいないために発生している。この支払は4月に完了する予定であり、それによって繰越額のすべてが執行される。
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