ゼオライトは固体酸触媒として非晶質であるシリカ・アルミナなどに比べて高い触媒活性をもつため、石油精製・石油化学などの諸プロセスに利用されている。ゼオライトを用いた応用例としてキシレン類の製造が挙げられる。その中でもパラキシレンはテレフタル酸エステルやポリエステルの出発原料となることから工業的価値が非常に高く選択的に生成できる反応プロセスが求められている。反応触媒としてZSM-5やMCM-22といったパラキシレンを選択的にふるい分けるのに適切な10員環細孔を有するゼオライトが用いられているが、ゼオライト外表面酸点で再び異性化反応が起こり、これがパラキシレンの選択性を下げる原因となっている。既往の研究によって様々な外表面酸点を失活させる手法が報告されているが、いずれの手法も化学溶液プロセスであり生産性が低く実用化には至っていない。そこで本研究では新規プロセスとして、大量生産に適応できる乾式混合であるメカノケミカルプロセスに着目した。具体的にはZSM-5に対してメカノケミカル処理によって表面改質を行うことで、高い選択性を発現する触媒を作製することを目的とした。 メカノケミカル処理により、ZSM-5ゼオライトの外表面酸点の選択的失活に成功し、トルエンのメタノールによるアルキル化反応においてパラキシレンの選択性の向上を確認することができた。本手法はゼオライト触媒の反応選択性の向上を目的とした、新しいプロセスとして有用であると考えている。
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