研究課題/領域番号 |
24656491
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
野村 琴広 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (20304165)
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キーワード | 触媒・化学プロセス / 高分子合成 / 二酸化炭素排出削減 / 有機工業化学 / ナノ材料 / 高性能分子触媒 / 担持分子触媒 |
研究概要 |
本課題は集積型シングルサイト固定化触媒の設計・合成と環境調和型合成プロセスへの適用で、形状・組成が制御された星形・球状ポリマー表面に機能の異なる錯体を緻密に集積化・担持した触媒を設計・創製し、環境低負荷型の効率合成プロセスを開拓・構築することを最終目的としている。特に申請者が最近報告・確立したリビング重合技術を基盤とする集積化及び末端官能基化(表面修飾)手法を基盤に、協奏機能効果を活かした効率合成プロセスを開拓したいと考えている。平成25年度の主な成果は以下のとおりである。 本課題の達成には、従来のモリブデン―アルキリデン(カルベン)触媒によるノルボルネンのリビング開環メタセシス重合(Core or Arm First Apporach, 重合・核形成・核からのポリマー鎖の生長)とその末端官能基化を基盤とする手法よりも、枝の数(分枝数)の多い星型・球状ポリマーの合成手法の確立が必要不可欠である。この懸案事項に対し、(1)第1段階の重合後の架橋剤の添加量及び濃度・反応時間の最適化(分枝数が多く、安定したコア・核を形成する条件確立)、及び(2)架橋剤の添加と同時に所定量のモノマーを共存させて核セグメントの架橋度を向上させることで、均一組成で枝分かれ(分枝)のより多い星型・球状ポリマーが再現性良く精密合成できるようになった(論文投稿準備中)。得られる材料の溶解性・性質は使用する末端(表面)官能基の影響を強く受けた。この手法で得られる材料は複数の官能基がランダムに多数導入できることから、今後は従来手法で得られる材料との比較も検討し、本課題の最終目的(協奏機能触媒の創製)を達成したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本リビング開環メタセシス重合手法の特徴を生かして、リビングラジカル重合などでは極めて困難な、鎖数(分枝数)の多い星形・球状ポリマーを再現性良く精密合成する手法を確立し、表面修飾手法も確立している。成果の一部は2回の国際会議・シンポジウムなどで多数発表しており、11月の国際シンポジウムでは優秀ポスター賞を受賞している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究を通じて、目的とする材料の合成手法は確立したので、同定および最終目的である協奏機能担持分子触媒の創製を目的とした研究に取り組む予定である。
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