本課題は集積型シングルサイト固定化触媒の設計・合成と環境調和型合成プロセスへの適用で、形状・組成が制御された星形・球状ポリマー表面に機能の異なる錯体を緻密に集積化・担持した触媒を設計・創製し、協奏機能効果により効率的な合成プロセスを開拓することを最終目的としている。特に申請者が最近確立した末端官能基化(表面修飾)手法を基盤に、異なる複数の錯体を表面に集積化することで、その特徴を活かして、効率的な合成プロセスの開拓を指向している。平成26年度の主な成果は以下のとおりである。 本課題の達成に向けて、分枝数の多い星型ポリマーの合成に取り組んでおり、所定量のモノマー重合後に添加する架橋剤の当量・架橋度や(架橋剤とモノマーとの共存による)架橋密度の効果を検討し、再現性良好で目的材料の精密合成手法を確立し、表面修飾も可能となった(近日論文投稿)。特に架橋剤とモノマーを共存させる系では、濃度や反応時間の影響が強く現れた。以上の結果は、今後目的触媒を合成する上で極めて有用な知見となる。 また、関連研究として初期にモノマーと架橋剤を混合し、次いでモノマーのみで重合を実施することで、内包型の星型ポリマーの合成手法も検討した。末端に各種チオフェンを導入することで、開始剤末端と成長末端との相互作用を蛍光スペクトルで確認し、蛍光強度が重合時の鎖長(自由度)の影響を受けることを明らかにした。以上の結果は本課題で期待している星型構造の形成を強く示唆するもので、配位子前駆体を導入し、触媒の合成に取り組んでいる途上である。
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