Ti ワイヤを基材として作製した N719/TiO2/Ti を作用極、Pt ワイヤを対極に用いることで、透明導電性基板を必要としないワイヤ型色素増感太陽電池(w-DSC)を構築することに成功した。ディップコート法により作製した多孔質 TiO2/Ti 電極を用いた場合、膜厚が 28 μm のときに 2.2 %の変換効率を示した。さらに、多孔質 TiO2/Ti 電極(膜厚:18 μm)に Ag ナノ粒子と N719 色素を共担持すると、Ag ナノ粒子を担持しない場合に 1.6 %であった変換効率が 1.9 %にわずかであるが向上した。次に、陽極酸化法を用いて Ti ワイヤ表面にμm オーダーの細孔構造を有する TiO2 層(A-TiO2/Ti)を作製し、w-DSC に適用した。TiO2 層の厚みが16 μm のときに、2.0 %の変換効率を示した。さらには、w-DSC の対極である Pt ワイヤの代替として、KNO3 溶融塩で処理したグラファイト棒に Pt を担持した電極(Pt/KNO3-C)を作製した。この Pt/KNO3-C を対極、N719/A-TiO2/Ti を作用極にして作製した w-DSC は、Pt ワイヤを用いた w-DSC とほぼ同等の太陽電池特性を示した。
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