本年度も継続して超臨界流体クロマトグラフィー/質量分析(SFC/MS)を用いたキラルリピドミクスシステムの構築に取り組んだ.トリアシルグリセロールおよびリン質等のラセミ体および位置異性体の標準品を用いて,それぞれのターゲットにおけるSFC/MS分析条件の検討を行った.各種キラルカラムについて分離挙動を確認するとともに,アキラルカラムとの連結にも取り組み,各種光学異性体および位置異性体の分離に成功した(論文投稿中,特許出願準備中).これからの成果については,論文や総説などで報告するとともに,多くの学会の招待講演等で公表した. さらに,構築したSFC/MSキラルリピドミクスシステムを用いて,生体内や食品中の成分の脂質光学異性体の解析を行った.食用油脂サンプルにおいてトリアシルグリセロール光学異性体の分離および位置異性体のプロファイリングに取り組み,各種異性体の分離に成功した(論文投稿準備中).また,糖尿病および心筋梗塞モデル動物における脂質光学異性体の解析についても取り組み,疾患特異的なプロファイルを取得した(論文投稿準備中).さらに,糖尿病の臨床サンプルの解析についても取り組み,モデル動物とプロファイルの比較を行うとともに,マーカー成分の特定を試みた.今後,さらに検体数を増やして精度の高いマーカー成分の同定に取り組む.
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