研究概要 |
(1)リン脂質(DMPC)およびPEG系界面活性剤C12(EO)23からなるハイブリッドリポソーム(HL)を用い、マウス骨肉腫 (LM8) 細胞移植モデルマウスに対するHLの肺転移抑制効果について検討した。①In vitroにおいて、HLは、LM-8細胞の増殖を抑制し、アポトーシスを誘導した。②HLは、浸潤および仮足の形成を有意に抑制した。③In vivoにおいて、HLは、マウス皮下でのLM8細胞の増殖を抑制し、肺への転移も抑えることを明らかにした。以上のように、HLの骨肉腫に対する治療薬としての可能性が示された。(Cancer Med., 2, 267-276(2013)) (2)HLのヒト非小細胞肺がん(NSCLC) 細胞に対する制がん機構について検討した。①HLは、NSCLC細胞に対して、細胞周期をG0/G1期で停止し、アポトーシスを誘導する制がん効果を明らかにした。②HLは、サイクリン依存キナーゼ阻害因子であるp21WAF1/CIP1およびp27 KIP1を誘導し、サイクリンD1およびEの発現を抑制した。③ HLは、リン酸化Aktの活性を時間・濃度依存に阻害することを示した。(Carcinog. Mutagen., 5, 157-1-6(2014)) (3) エイズ治療の基礎研究として、セファランチンのHIV侵入阻害効果およびその機構をin vitroで検討した。①HIV感染実験により、セファランチンのHIV侵入阻害効果が明らかになった。② 蛍光偏光解消法により、セファランチンによるT細胞株に対する細胞膜流動性の硬化作用を明らかにした。これらの結果は、セファランチンが細胞膜の流動性を低下させることで、HIVのT細胞への侵入を阻害することが示された(Bioorg. Med. Chem. Lett.,24, 2115-2117 (2014))
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