研究課題
大腸菌の直鎖状mRNA鋳型上から終止コドンを除き、開始コドンを残した環状RNAを考案しました。この環状mRNAを用いてタンパク質合成反応を行ったところ、リボソームが一度環状mRNAに結合してタンパク質合成を開始すると、終止コドンがないのでエンドレスにタンパク質合成を続けた。また、直鎖状mRNAを鋳型としたタンパク質合成と比較して、リボソームが解離して結合するまでの律速段階がないので、効率よくタンパク質合成ができることが明らかとなった。具体的には、以下のような手法で実際に環状mRNAや直鎖状mRNAのタンパク質合成の効率を評価した。mRNA の先頭に開始コドンを有し、8つのアミノ酸から構成されるFLAGタンパク質を繰り返しコードし、終止コドンが存在しないmRNA配列を設計しました。次に、FLAGタンパク質の繰り返し数を変えることで、塩基配列の長さが84塩基、126塩基、168塩基、252塩基の、それぞれ直鎖状と環状のmRNAを作製した。これらを用いてタンパク質合成反応を行い、ポリアクリルアミドゲル電気泳動で解析した。直鎖状mRNAでは、それぞれの長さに応じて少量のペプチド断片が観察された。それに対し、環状mRNAを用いた場合、84塩基では環のサイズが小さすぎて長鎖のペプチドは観測されなかった。一方、126塩基、168塩基では長鎖でかつ大量のペプチドが観測され、FLAGタンパク質が連続的に合成され連なっていることが推測された。しかしながら、252塩基では若干ペプチドの量が減少した。これはmRNAの高次構造による影響であると示唆された。
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Angewandte Chemie Int. Ed.
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