液体内に集光したレーザー光を集光または電極により放電することでブレイクダウンさせ,生じた衝撃波,気泡生成や崩壊を利用し,ノズルから液体を噴射するメカニズムについて実験的に調べた.内部を観察可能な可視化容器を製作し,衝撃波伝播,気泡生成および気泡の崩壊挙動を高速度ビデオカメラを使用して調べた.入力するレーザーの強度や放電エネルギーを変化させることで,容器内の気泡生成および崩壊挙動,噴射速度や遅れに及ぼす影響を調べた. レーザーを照射した時,レーザー光路に沿って多くの気泡生成が観察された.ビームウェスト上流側により多くの気泡が生成される.エネルギーを大きくすると,気泡の最大径が小さくなり,崩壊までの時間が短縮することが分かった.これらの挙動は隣接する気泡の影響による.放電で気泡を生成する場合,電極間隙に大きな気泡が生成するものの,生成から崩壊までの時間がレーザーの場合より半分から3分の2程度であった.一方で,電極間隙付近に壁面を挿入すると,気泡寿命が長くなった.これはレーザーの場合の隣接気泡の干渉と同様の効果であると考えられる.放電の場合の気泡崩壊時間は,壁面が無い場合はRayleigh-Plesetの方程式で予測されるが,レーザーおよび放電時に電極近傍に壁面を挿入する場合は気泡崩壊時間が予測より長くなる.干渉によって気泡寿命が延長することが分かった. 噴射挙動に着目すると,レーザーの場合二段階の噴射が観察される.これらは気泡生成および崩壊に起因する圧力波によると考えられる.一段目の噴射はエネルギー入力が大きい方が速い.また,二段目の噴射は入力エネルギーが大きい方が遅かった.また,この挙動はキャビテーション数の解析により把握された.放電の場合は,電極位置がノズル出口より離れており,弱い噴射のみ観察された.レーザーの場合もブレイクダウン位置を噴口から遠ざけると弱くなった.
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