研究課題/領域番号 |
24656524
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 徹 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (30282677)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | CO2海域地中貯留 / CO2漏洩の環境影響 / 海底堆積層 / 気泡径 / 砂粒子径 / 気固液三相流数値シミュレーション / 水槽実験 |
研究概要 |
海底でCCSを行うにあたり,圧入したCO2の漏えいによる周辺生物への影響が心配されている.気泡サイズは海中の上昇速度や溶解に大きく関わるため,海水への環境影響にとって重要なパラメータとなる.そこで本研究では,砂堆積物から放出される気泡サイズを計測し,気泡サイズの決定メカニズムについて考察した. 実験には外径10cm×10cm,内径9cm×9cmで高さ138cmの水槽を用いた.まず水槽内に砂をいれ上から水を注ぐ.そして水槽の下部から乾燥させた空気を圧入し,砂表面から出てくる気泡をCCDカメラで撮影した.画像粒子性状解析ソフトを用いて写真から気泡の最大径2×aと最少径2×bを求め気泡を回転楕円体と見なして気泡の体積を求め,求まった体積を球体を仮定してその直径を求める. 流量は100,200,300,400,500ml/minの5段階とし,各ケースについて50~300個の気泡についてサイズを計測した.砂は全て1.0kgずつ用意し砂の高さを8.1(±0.5)cm,砂表面からの水の高さを92(±0.5)cmとした.実験には細砂(粒径~3000μm),珪砂(粒径75~1200μm),豊浦砂(粒径~300μm),また実際の苫小牧の海底砂の4種類を用意し,さらにふるいを用いて粒径分布の異なるいくつかの試料に分けた). その結果、砂の粒径の小さい豊浦砂や細砂(小)を使用したときは大きい気泡が多くなり,逆に細砂(大)や苫小牧の砂など粒径が大きい砂で比較的小さい気泡が出ていることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
物理場を決定するパラメータを求め、これを変化させることができる条件になるべく、実験材料を準備し、また高さ2m程度のアクリル製の水槽を製作した。水槽の底にガラスビーズ、あるいは粒子径分布のわかっている砂を敷きつめ、その下のチャンバーに気体を注入し、砂層表面から水中に漏出する気泡系を画像処理によって計測した。 同時に、マイクロスケールの気液二相流格子ボルツマン法を改造し、砂層あるいはガラスビーズ層から漏出する気泡径を解析する数値解析法を開発した。全て予定通り順調に進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の2年目となる25年度は、予定通り、24年度に開発した数値計算コードを用いてシミュレーションを行う。上記実験により数値計算結果を検証することができれば、その後、さらにパラメータを変化させたい場合は、この検証済みの計算コードによって数値シミュレーションすることでケース数を増やして気泡径に関するデータベースを構築する。 最終的にこのデータベースから、海底漏出気泡サイズに関して、バッキンガムのπ定理に従った複数の無次元数を使った数式モデルを作成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
マイクロスケールの砂層中気固液三相流数値解析コードを用いた計算の高速化のため、GPU計算機を購入する。またGPU計算機で効率よい計算を実現するため、上記コード(プログラム)をGPU用に変更する。これは外注とする。計算の実施には修士学生をバイトで雇用するため、謝金を計上する。また研究成果発表のため、学会参加費と旅費を計上する。
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