研究課題/領域番号 |
24656529
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
庄司 るり 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (50272729)
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研究分担者 |
田丸 人意 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 准教授 (00361808)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 船舶交通 / 海上交通 / 航跡情報 / AIS情報 / レーダー情報 / 先端ナビゲートシステム / 航行評価 |
研究概要 |
船舶交通実態調査において、AIS非搭載船舶についてはレーダー情報の解析が必要である。このレーダー情報をできるだけ容易に解析し、より精度の高い調査結果を得るために、東京海洋大学で有している先端ナビゲートシステム(船舶運航に必要なデータを収集・解析・保存・表示する統合システムで、東京湾の船舶交通調査が可能)の改良を行っている。これまで検討してきたレーダー情報の半自動追跡アルゴリズムは、本システムで稼働するには負荷が高く、アルゴリズムの改良が必要となっている。 また、ある海域における船舶交通の安全性のレベルや危険度についての定量的な評価を行うため、上記システムで取得したAISデータを使用し、東京湾について調査した。まず、東京湾北部、浦賀水道および中ノ瀬航路について、航行隻数分布、航行密度分布、行き先分布に関する解析を行い、SJ値(Subject Judgment Value)を用いて海域の特性を検討し、衝突の危険度が高くなる可能性のある海域の抽出を行うことができた。次に、船舶交通の空間的分布とパラメータに関する統計的・確率的モデルを検討した。船舶の航跡や船速は、その船舶の大きさ、船種、航路中心からの距離等により決定される。また、航路の占有率や密度の評価には陸上の交通理論を使用し、浦賀水道航路における旋回および屈曲半径に関する解析により、航行可能領域における船舶の旋回挙動の評価を行った。ここまでの結果から、与えられた海域において船舶交通の安全性およびリスク分析および一般的な船舶交通流モデルの作成が可能になると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究の概要」にも記したとおり、レーダー情報の半自動追跡アルゴリズムに関して、さらなる改良が必要であることが分かった。使用しているレーダー情報は、画像情報であるため画像処理の部分で計算の負荷が大きくなり、追跡の処理に時間がかかっている。また、半自動追跡の精度も十分とはいえず、現在は追跡アルゴリズムの再検討を行っている。 概要に述べたように、東京湾の特徴については、解析を進めることができた。また、与えられた海域において船舶交通の安全性やリスク分析および船舶交通流モデルを作成することにより、一般的な海域においてもその特徴を見いだせる船舶交通流モデルの提案を行えるようになった。 航行船舶の特徴(全長、喫水、船種等)、行き先分布、航路内での航行分布、船速変化、航路屈曲部における旋回(変針のタイミングと旋回径の推定)等について、個別の解析手法の検討および解析を行っているところである。 現時点では、レーダー情報の半自動追跡アルゴリズム開発および海域の特徴の抽出とモデル化にとどまっており、個々の船舶の航跡の評価に至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
レーダー情報の半自動追跡アルゴリズム開発は、画像処理手法および追跡アルゴリズムの再検討を行い、今後も継続していく予定である。 今後は、AISの情報を中心に基準となる航路および許容操船範囲について、主として検討する。具体的には、これまでの解析結果から、行き先、船種、全長をパラメータとして航跡を分類し、航行密度の高い海域を基準航路の候補とする。また、周辺海域の密度分布と許容操船範囲との相関および基準航路上の船速変化について検討する。そして、各航行毎に調査し、基準航路からの偏位と船速差により、個々の船舶の航行状態を評価することを目指す。 また、船舶交通評価指標(バンパーモデル、SJ値、交差角等)により個々の航海について平均的な状態を求め、個々の船舶の航行について平均的な状態との差を調査し、定量的な評価を与えることを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は6,734円でコンピュータ関連消耗品に使用予定ある。 消耗品費としてソフトウェア開発費は800千円(予定通り)、コンピュータ関連消耗品に次年度使用額(6,734円)を合算(206,734円)、旅費として国内旅費は100千円、人件費・謝金は200千円、印刷製本費は100千円の使用計画である。
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