近年の運航技術レベルの多様化に加え、船舶の大型化、混雑化等は、輻輳海域における船舶交通の困難性を増大させている。本研究では、レーダーおよびAISの情報から各船舶の航跡から変針や船速変化などの操船状況を推定、解析し、他船との遭遇状況を考慮して、各船舶の運航技術について、個別に評価を行おうとするものである。 2013年度は、ある海域における標準的な航行や不適切な操船行動の特徴を明らかにし、個々の航行の修正すべき点を示すなど、各船舶の航行状況に関する評価を検討した。東京と千葉方面から出港し、船舶の長が100m以上200m未満の貨物船と、千葉方面から出港し、船舶の長が100m以上200m未満のタンカーのうち、浦賀水道航路を南航する船舶を対象とした。評価の要素として、航跡、基準航跡からのずれ、速力、周囲の船舶数及びSJ値について検討を行った。船舶の航行状況について、複数の要素で比較できるような航行状況の評価シートを作成した。これにより、各船の航行状況をわかりやすく分析することができる。今回の検討結果は、評価海域においてある船の航行を評価する際の手法のひとつとしての提案になると考える。
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