研究課題/領域番号 |
24656535
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
田中 智行 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20452609)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 計算力学 / メッシュフリー法/粒子法 / 構造解析 / 非線形有限要素法 |
研究概要 |
本研究の目的は,メッシュフリー法/粒子法を用いて,防撓パネルなどの薄板構造物の圧壊シミュレーションを行うことである.最終強度後の防撓パネルの挙動は,パネルの座屈,塑性化,き裂の進展,破断を伴う複雑な非線形現象である.現在,防撓パネルの解析に多用されている有限要素法では最終強度に関しては高精度に評価できているが,き裂のモデル化,き裂進展にともなうメッシュ再分割などの問題から破断現象を伴う最終強度後の評価を行うことは容易ではない.このことに着目し,メッシュフリー法/粒子法を用いた新しい構造解析手法の開発を行う.本研究は,船体構造崩壊解析の高精度化および船体構造の高強度化に関する新たな研究領域開拓のための研究である. 今年度の目標と進捗に関して以下にまとめる.(a) メッシュフリー法/粒子法を用いた組み合わせ構造物のモデル化:複数のパネルから構成される板構造物の線形解析および幾何学的非線形解析を行うことが可能となった.メッシュフリー法では,各節点でクロネッカーデルタ特性を持たないため,MPC (Multiple Point Constraint) 法を用いた構造物のモデル化を行った.(b) 複雑な曲面形状を表現するための曲面座標系の導入:基本的なプログラムの開発は行った.有限要素法解析ソフト等との比較を行い精度検証を行った.本年度の研究目標はおおむね達成することができたと思われる.基礎的検討で単純な組み合わせ構造物の解析を行っているため,今後はより現実的なモデルの解析を目標とする.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施の概要の通り,初年度の目標はおおむね達成することができた.メッシュフリー法/粒子法を用いた解析では,有限要素法でのいわゆるクロネッカーデルタ特性を満足することができない.そのため,組み合わせ構造物に対する解析においても節点を共有するだけでは構造の連続性が保障できない.そこで,本研究では,MPC 法のアイディアをもとに定式化および離散化を行い,変形を連続させる形で組み合わせ構造物の解析を行うことができた.一方,メッシュフリー法/粒子法に対して MPC 法を適用した場合,拘束箇所で微小に応力が振動する問題が発生した.この問題に対しても,詳細に吟味し一つの問題解決法を提案することができた.メッシュフリー法/粒子法を用いた組み合わせ構造物の解析は,あまり実施されておらず申請者らのアプローチは意味のあるものと思われる.組み合わせ構造物への拡張という目標を達成できたため,現段階では,目標に対しておおむね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
現在までに組み合わせ構造への拡張を行うことができたため,今後はより現実的な構造物に対する適用を行う.具体的には以下の通りである.防撓パネルの座屈解析では,初期不整を導入する必要がある.現在の定式化に曲面座標の概念を導入することにより簡便に初期不整を定義することができる.本内容については現在進行中である.さらに,圧壊挙動の評価のために,材料非線形問題への拡張を行う必要がある.弾塑性問題への定式化を行う.メッシュフリー法/粒子法を用いた弾塑性問題は既存に実施された例題があるためそららの文献を参考にすることができる.最後に部材の破断を評価するため,き裂のモデル化に関する検討を行う.簡単な二次元平板に対する例題に関しては実施された例があるが複雑な構造物に対する例はあまりなく新しく解析手法の提案を行う必要がある.
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次年度の研究費の使用計画 |
現在までに得られた知見を外部に発表するため国内外への学会参加費,旅費として計上する.また,解析結果の整理を行うため小規模の計算機の購入を予定している.
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