研究課題/領域番号 |
24656541
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
陳 友晴 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教 (80293926)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 岩石破砕 / 導電性セラミックス / グラウト |
研究概要 |
現在、岩盤を掘削するには、主として発破を用いる方法と機械的な方法の2種が用いられているが、これらの手法は、発破影響領域の評価の難しさや振動による周辺環境への影響などの問題があり、対象サイトによってはより制御された岩盤開削技術が強く求められている。これらの問題を解決する手法の1つとして、高電圧を用いた岩石の破壊現象が研究されている。しかしながら、岩石の電気伝導性や通電経路を評価することは難しく、有効な手法には至っていない。 近年、セメント原料中の成分と同じ構造をもつ物質で導電性を付与されたセラミックス材料が発明された。そこで、これをグラウト材として岩盤中に圧入し、通電する経路をあらかじめ確定してから高電圧をかけることで、岩盤を制御下で破砕できるのではないかという着想に至った。本研究は、このような将来展望を見据えた材料の基礎物性研究であると同時にその材料を用いた新しい岩盤開削技術の開発をめざすものである。 研究初年度は、近年発明された導電性のセラミックス材料を作製する技術を調査・応用し、導電性を有するセメント原料の作製を試みるとともに、当該材料の導電性の時間変化について検討を行った。その結果、作製条件等を調整することで、効率的に導電性のセラミックス材料を作製することが可能となった。また、この条件で作製した導電性セラミックス材料は、数日間という時間内では顕著な導電性の低下は認められないことが明らかとなった。研究の第二段階に必要となる材料について、おおむね良好な開発結果が得られているものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度に予定していた、近年発明された導電性のセラミックス材料を作製する技術を応用し、導電性を有するセメント原料の作製を試み、当該材料の導電性の時間変化について検討を行う実験について、作製条件等を調整することで、効率的に導電性のセラミックス材料を作製することが可能となり、この条件で作製した導電性セラミックス材料が、数日間という時間内では顕著な導電性の低下は認められないことを明らかにした。ただし、創製した材料を粉砕した粉体材料の導電性評価が難しいことから、次年度においてもこの評価法については引き続き検討することとした。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には、当初の予定通り、創製されたセメント原料を岩石試料(実験室内用サンプル)へ圧入し、試料の導電性の計測を行い、高電圧破砕への適用可能性を検討することとする。これまでのところ研究の進行に大きな問題はなかったが、実際の破砕実験を行うには不明瞭な部分が多く、慎重に実験を進める予定である。また、創製されたセメント材料(粉体)の導電率評価手法についても、破砕試験と同時進行を予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額(B-A)がおよそ270千円生じた状況としては、実験が順調に進み、人件費・謝金の見積額より少なくてすんだことと、物品購入が当初見積より若干廉価に購入できたことによる。そこで、当該経費は、次年度における研究成果発表等の旅費として支出を予定している。 これを踏まえ、次年度は、消耗品270千円、旅費370千円、人件費・謝金120千円、その他210千円を予定している。内訳は、消耗品として、実験原材料・試薬、雰囲気調整用ガス、岩石試料を計上し、実験に利用する導電性セラミックスの作製等を行う。旅費として、資料収集、研究発表を計上する。人件費・謝金は、導電性セラミックスの作製と資料整理(実験補助)について支出予定である。その他として、高電圧印加装置の利用料を見込んでいる。
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