• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

ナノグラフェン磁性流体を利用した革新的レアメタル磁気回収プロセス

研究課題

研究課題/領域番号 24656548
研究機関東北大学

研究代表者

本間 格  東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (90181560)

研究分担者 笘居 高明  東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80583351)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードグラフェン / リサイクル / 磁性流体 / レアメタル
研究概要

近年、レアメタルの供給不安から、“金属微粒子回収プロセス”の社会的重要性が加速度的に増している。本研究では、強磁性体であることが理論的に予測されているジグザグ端ナノグラフェンを磁場により抽出することで、ナノグラフェン磁性流体を創製し、さらにグラフェンの金属微粒子の安定吸着・担持特性を利用することで、革新的なレアメタル磁気回収プロセスを確立することを目的とする。
抽出されたジグザグ端ナノグラフェンの構造はラマン散乱分光法、SPM、HRTEMにより規定する。特にラマン散乱分光法は、非常に有力なグラフェンの構造解析手法であり、アームチェア端で顕著なDバンドが、ジグザグ端では消失することが明らかとなっているため、バルクとしてのジグザグ端の抽出の可否を判断できる。
酸化、又は、還元雰囲気下で金属微粒子を担持させたグラファイトを加熱すると、金属微粒子が表面を侵食し、結晶方位に従ってジグザグ端で構成されたナノトレンチが形成 (ナノカッティング) されることが1930年代から知られており、この反応を利用したグラフェンのエッジ制御への期待から、近年再び注目を集めている。
本反応は活性化エネルギーが高く、一般的に650 ˚C以上の高温が必要であるが、本研究では、従来の気相中での酸化処理に代え、超臨界水による処理を行うことで、ナノカッティング反応を流体中で、且つ、500 ˚C以下の低温で進行させることに成功し、グラフェン中への効率的なジグザグ端の導入を可能とした。
本手法で作成されたグラフェンに対し磁気分離を試みたところ、磁気分離前後でジグザグ端の導入を示す、ラマンスペクトルのDバンドのD'バンドに対する強度比の減少が見られたことから、ジグザグ端ナノグラフェンの作製と抽出の実現可能性が見い出された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度におけるジグザグ端グラフェンの作製とその抽出は、当初計画通り進展している。磁化率測定に関しても実施しており、不純物磁性元素による磁気特性の範疇を超えた磁性の発現についても、現在までに確認されている。

今後の研究の推進方策

レアメタル微粒子のナノグラフェンへの吸着と磁場による回収プロセスの開発として、まずモデル系としてPt微粒子の吸着・回収に取り組む。Ptナノ粒子(<100 nm)を分散した溶媒にナノグラフェン磁性流体を混合し、Ptナノ粒子のナノグラフェンへの吸着状態をHRTEMにより観察する。
その後、磁気分離装置に導入することで、磁場によりナノグラフェンに担持された金属微粒子を流体から分離し、最後に、酸素雰囲気での熱処理により、グラフェンを完全に除去する。プロセスの評価尺度は、仕込みのPt量に対する、回収できたPt量の比(回収効率)とPt中炭素の残存率(純度)とする。
このPt微粒子で得た知見を元に、同様の手法で、その他のレアメタル(Ru, Rh, Au, Ag)や、飛散放射性物質として問題となっているSr, Csなどに展開する。吸着・磁化特性の元素依存性を診ることで、多種金属微粒子混在系における分離回収技術への展開を検討し、レアメタルのみならず、放射性元素回収も含む、本プロセスの実用指針を構築する。

次年度の研究費の使用計画

次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額と合わせ、平成25年度の研究遂行に必要な下記3点を中心に、使用する予定である。
1.磁化率測定(依頼測定)
2.磁気分離プロセス装置の開発
3.レアメタル微粒子の調達

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 超臨界水ナノカッティングによるエッジ制御グラフェンの直接作製2013

    • 著者名/発表者名
      田村直貴,笘居高明,本間格
    • 学会等名
      2013年第60回応用物理学会春季学術講演会
    • 発表場所
      厚木
    • 年月日
      20130327-20130330
  • [学会発表] Facile Production of Edge-controlled Graphene by Crystallographic Etching in Supercritical Water2012

    • 著者名/発表者名
      Naoki Tamura, Takaaki Tomai, Itaru Honma
    • 学会等名
      2012 MRS Fall Meeting & Exhibit
    • 発表場所
      Boston, USA
    • 年月日
      20121125-20121130
  • [学会発表] 超臨界水を用いたグラファイトの異方性ナノカッティングとエッジ制御グラフェンの作製2012

    • 著者名/発表者名
      笘居高明、田村直貴、本間格
    • 学会等名
      化学工学会第44回秋季大会
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      20120919-21

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi