研究課題
挑戦的萌芽研究
プラズマ計測のために電極やコイルを取り付けた飛翔体プローブを開発することを目的としている。平成24年度は、電極やコイルを取りつけた飛翔体ではなく、単純な直径10mmの球形の材料(アルミナ、ステンレス)をQUESTプラズマ中に導入した。導入方法として、真空容器上部に設けた導入配管と回収用の配管を用意して重力による落下を採用した。導入速度は約5m/sである。対象となるプラズマは、高周波電力100kWの入射により作成された非誘導電流駆動プラズマで、高速電子が閉磁気面外側に大きくひろがっていることがわかっている。観測は、可視光高速カメラ、2次元X線分布計測、硬エネルギーX線装置、ダイバータプローブ等で行われた。アルミナ球の場合にはプラズマ真空容器導入から数10~100ms程度で粉々に粉砕した。ダイバータプローブで計測されたイオン飽和電流から求めたバルクプラズマのパラメータを用いてアルミナ球の温度上昇を計算したところ数度程度と粉砕が起きるには熱入力が小さすぎることがわかった。硬X線計測で求めた高速電子のパラメータを熱入力の計算に用いたところ実験結果をほぼ説明できることがわかった。この結果から飛翔体プローブを開発するためには高速電子からの熱入力を評価することが重要であることがわかった。アルミナ球では粉砕したため、材料が粉々になりプラズマへの影響を調べることができなかった。そこでステンレス球を落下させることでプラズマへの影響を調べた。結果として10mmのステンレス球も一部が溶融し、回収管では回収できず、ダイバータ板上に落下した。また、プラズマ電流はステンレス球落下中にほぼゼロとなることが分かったため、計測にはより小型化するか、より速度の速い入射方法の開発する必要があることが分かった。
2: おおむね順調に進展している
当初計画したプラズマへの影響評価と、飛翔体そのものへのダメージの大きさは評価できた。現在、高速電子が存在する場合の飛翔体への熱負荷を評価する方法を検討している。評価方法が確立すれば熱入力の絶対評価により必要な入射速度を算定できる。また、今回実験を行ったプラズマ以外のプラズマではどのような影響が起こるかを事前に検討できる。そのための基礎データの取得は完了した。来年度はより小型の飛翔体を導入することでプラズマへの影響を少なくするとともに、申請書にもあった電磁カタパルトを含めたより速度の速い導入方法の開発および計測対象となるプラズマの選定に着手することとなる。
平成24年度は計画通りに研究を進めることができたが、他の研究課題への影響を配慮して実験期間の最後の放電のみで実験を行ったために実験の効率が悪かった。実験効率を上げるために導入系の改造を行うとともに、より速い速度での導入を目指した開発を行う。
直径及び材質の異なる飛翔体の作成と電磁カタパルト作成のための電気回路等に経費を使用する。材料としては、核融合研究で今後重要となるタングステンの導入を考えたい。また、対象とするプラズマも今回はもっとも高速電子の量が多いプラズマを選択したが、来年度は高速電子の量による飛翔体への影響を定量的に調べたい。平成24年度はプラズマ真空容器への影響を考慮して実験期間の最後の放電で実験を行ったが、より多くのデータを収集するため、種々の飛翔体を何度もプラズマに導入できるように導入系の改造を行いたい。
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Proc. 22nd International Toki Conference November 19- 22, 2012
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