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2013 年度 実施状況報告書

ミリ波伝送素子最適構造設計用電磁波シミュレーション技法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24656560
研究機関核融合科学研究所

研究代表者

中村 浩章  核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (30311210)

研究分担者 田村 祐一  甲南大学, 知能情報学部, 教授 (50311212)
久保 伸  核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (80170025)
キーワード導波管 / 時間領域空間差分法 / FDTD法 / 電子サイクロトロン加熱 / ミリ波 / マイターベンド / 核融合
研究概要

初年度に引き続き、核融合プラズマにおける電子サイクロトロン加熱(ECH)システムのミリ波伝送効率の向上を目指し、電磁波伝播(時間領域空間差法:FDTD)シミュレーションシステムの開発を行ってきた。ECHシステムでは、ジャイロトロンで発生させたミリ波を伝送系により真空容器まで伝搬させ、装置内のプラズマを加熱する。この際の電磁波伝搬経路には以下の3つの要請が科せられる。まず、電磁波を発生させるジャイロトロンに本体から漏れ出る磁場の影響を受けないようにするため、装置本体から離れたところに設置する必要がある。次に、将来核融合運転の際には、装置からの中性子遮断をする必要もある。さらに、ミリ波の入射条件に応じて偏波器を導波路に設置する必要が生じることから,直線状の伝送素子のみで伝送系を構成することはできない。そのため,導波路は直線状の円筒コルゲート導波管とミリ波の進行方向を90度変えるマイターベンドの2種類の伝送素子から構成しなければならない。
研究成果として、マイターベンド用のFDTDシミュレーションコードと可視化システムを開発し導波路内の電磁波を解析した。可視化によりコルゲートが渦電流をせき止め、表面電流を抑制することがわかった。マイターベンドのミラーにおける熱分布を実験と理論とシミュレーションで比較した結果、ほぼ一致した。シミュレーションではマイターベンドでわずかにモード変換が発生し、まだら模様が確認された。タブレット端末を用いた独自のユーザーインターフェースを開発したことにより、直感的な操作による可視化と解析を行うことが可能となった。シミュレーションコードと可視化システムをマイターベンドの内部形状の設計に活かし、伝送系の伝送効率向上に役立つツールを開発することができるようになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度は、直線円筒コルゲート導波管のシミュレーションの計算を行い、それに引き続き本年度は、ミリ波の進行方向を90度変えるマイターベンドの計算をできるように、計画通り開発を行うことができた。さらに、本研究課題に掲げた電磁波伝搬の複雑な有りさまを可視化するためVR装置での可視化ツールの開発も行うことができた。特に、その優位さとして、マイターベンド内のでこぼこした壁面での誘起電流を、この可視化ツールを用いて調べることができた。その結果、実際に使われているマイターベンドの改良の提案を行うことができた。つまり、現在使われているマイターベンドでは、内部壁面のある部分の角を削るように作られている。しかし、本研究より、この角は削らない方が、壁電流の抑制につながるということが分かった。

今後の研究の推進方策

本研究で開発したFDTDコードでは、金属壁を完全導体として扱っている。この完全導体という描像では、金属と真空との境界面の厚さがゼロ極限の金属表面上に、理想的な電流が存在するという近似で、マクスウェル方程式を解くということを行っている。それより、この理想的な電流は、表面近傍の磁場を用いて電流値を計算している。この近似の範囲では、金属内部には電磁波が侵入しないため、それにより誘起される電流の計算も行わない。それゆえ、計算が軽くなる。しかし、現実的には、ECHで用いる周波数領域では電磁波の金属への侵入長は、短いが有限である。そこで、この誘起電流の計算を行う必要がある。現時点では、この計算を行うプロトタイプのコードを開発できている。来年度は、このコードの妥当性のチェック・改良などを行い、いよいよコルゲート導波管・マイターベンドの計算を行いたい。現状では導波管は完全導体として取り扱っている。

次年度の研究費の使用計画

当初、欧米で行われる国際会議に発表を計画したが、別の会議への出席が決まり、それに参加できなくなり、次年度使用金が生じた。また、分担者との国内での打ち合わせについても、別の会議などで直接会う機会があり、そこで本研究内容についての打ち合わせも行うことができたことも理由である。
最終年度なので、代表者・分担者とも国外での研究発表に力を入れたい。さらに、計算データが膨大になるため、記憶媒体を充実させる。さらに、本研究成果として本年度タブレット端末を使った電磁波可視化ツールを開発した。その開発を加速するため、タブレット端末などの購入を計画したい。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (10件)

  • [雑誌論文] Interactive visualization system to analyze corrugated millimeter-waveguide component of ECH in nuclear fusion with FDTD simulation2014

    • 著者名/発表者名
      Naoya Kashima, Hiroaki Nakamura, Yuichi Tamura, Atsushi M. Ito, Shin Kubo
    • 雑誌名

      Journal of Physics: Conference Series

      巻: 490 ページ: 012179 (4pages)

    • DOI

      10.1088/1742-6596/490/1/012179

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Optimization of a corrugated millimeter-wave waveguide and a miter bend by FDTD simulation2013

    • 著者名/発表者名
      H. Nakamura, N. Kashima, A. Takayama, K. Sawada, Y. Tamura, S. Fujiwara and S. Kubo
    • 雑誌名

      J. Phys.: Conf. Ser

      巻: 410 ページ: 012046(4 pages)

    • DOI

      10.1088/1742-6596/410/1/012046

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Finite-difference time-domain simulation on transmission of millimeter waves through miter bends2013

    • 著者名/発表者名
      N. Kashima, H. Nakamura, A. Takayama, Y. Tamura and S. Kubo
    • 雑誌名

      Japanese Journal of Applied Physics

      巻: 52 ページ: 11ND02 (4)

    • DOI

      10.7567/JJAP.52.11ND02

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Three-Dimensional Analysis of Electromagnetic Wave Propagation using Meshless Time Domain Method2013

    • 著者名/発表者名
      Yoshihisa FUJITA, Taku ITOH, H. Nakamura and Soichiro IKUNO
    • 雑誌名

      Plasma Fusion Res.

      巻: 8 ページ: 2401061 (4)

    • DOI

      10.1585/pfr.8.2401061

    • 査読あり
  • [学会発表] FDTD シミュレーションと可視化による導波路内の電磁波解析2014

    • 著者名/発表者名
      加島直弥,中村浩章,伊藤篤史,高山有道,田村祐一,下妻隆,高橋裕 己,久保伸
    • 学会等名
      「自然科学における階層と全体」シンポジウム
    • 発表場所
      桑山ビル, 名古屋、愛知
    • 年月日
      20140220-20140221
  • [学会発表] MTDMを用いた導波管の2次元実金属シミュレーション2014

    • 著者名/発表者名
      藤田宜久、生野壮一郎、中村浩章
    • 学会等名
      「自然科学における階層と全体」シンポジウム
    • 発表場所
      桑山ビル, 名古屋、愛知
    • 年月日
      20140220-20140221
  • [学会発表] FDTDを用いたマイターベンド内の電磁波伝搬シミュレーションと可視化2013

    • 著者名/発表者名
      加島直弥,中村浩章,伊藤篤史,高山有道,田村祐一,下妻隆,高橋裕己,久保伸
    • 学会等名
      非線形・可視化部門研究会
    • 発表場所
      核融合科学研究所, 岐阜
    • 年月日
      20131209-20131210
  • [学会発表] Investigation of transmission efficiency in complex-shaped waveguide using real metals2013

    • 著者名/発表者名
      Y. Fujita, T. Itoh, S. Ikuno, and H. Nakamura
    • 学会等名
      23rd International Toki Conference
    • 発表場所
      Toki, Gifu, Japan
    • 年月日
      20131118-20131121
  • [学会発表] Visualization of electromagnetic waves using FDTD simulation through the miter bends2013

    • 著者名/発表者名
      N. Kashima, H. Nakamura, A. Takayama, A. M. Ito, Y. Tamura and S. Kubo
    • 学会等名
      23rd International Toki Conference
    • 発表場所
      Toki, Gifu
    • 年月日
      20131118-20131121
  • [学会発表] ミリ波伝搬素子コルゲート導波管の実金属シミュレーション2013

    • 著者名/発表者名
      藤田宜久,中村浩章, 生野壮一郎、久保伸
    • 学会等名
      日本物理学会2013年秋季大会
    • 発表場所
      徳島大学,徳島
    • 年月日
      20130925-20130928
  • [学会発表] FDTDを用いた伝送路内の電磁波伝搬シミュレーションと可視化2013

    • 著者名/発表者名
      加島直弥,中村浩章,伊藤篤史,田村祐一,久保伸
    • 学会等名
      プラズマシミュレータシンポジウム2013
    • 発表場所
      核融合科学研究所, 岐阜
    • 年月日
      20130911-20130912
  • [学会発表] Interactive visualization system to analyze corrugated millimeter-waveguide component of ECH in nuclear fusion with FDTD simulation2013

    • 著者名/発表者名
      N. Kashima, H. Nakamura, Y. Tamura, A. M. Ito and S. Kubo
    • 学会等名
      International Conference on Mathematical Modeling in Physical Sciences
    • 発表場所
      Prague, Czech Republic
    • 年月日
      20130901-20130905
  • [学会発表] FDTDを用いた伝送路内の電磁波伝搬シミュレーションと可視化2013

    • 著者名/発表者名
      加島直弥,中村浩章,伊藤篤史,田村祐一,久保伸
    • 学会等名
      プラズマ科学のフロンティア2013
    • 発表場所
      核融合科学研究所, 岐阜
    • 年月日
      20130821-20130823
  • [学会発表] Electromagnetic field analysis of a Drude-Lorentz model using meshless time domain method2013

    • 著者名/発表者名
      Y. Fujita, S. Ikuno and H. Nakamura
    • 学会等名
      The 12th Asia Pacific Physics Conference of AAPPS
    • 発表場所
      International Conference Halls, Makuhari Messe Chiba, Japan
    • 年月日
      20130714-20130719

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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