放射線作業者の被ばくによる生涯リスクは,被ばく線量の他に被ばく時の年齢によって変化するが,実効線量限度の値はこれらに依存しない一律な値に規定されている。そこで被ばく歴や被ばく時の年齢を考慮した線量限度値を示すため,国際放射線防護委員会のリスク算定法により,通常業務での被ばく限度値から算出した生涯リスク量を基準損害指標値とし,この値を超えない最大の実効線量限度値を求め,これを実効線量限度の制限値とした。この値は,生涯リスクを増加させずに新たな実効線量限度の制限値の選択を可能とするため,実効線量限度の適用に新たな道を開くものと考える。
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