ステンレス鋼のヘリウムによる粒界破壊の機構解明のために、Fe-15Cr-20Niの単純三元系合金にサイクロトロンでヘリウムを注入し、高温での一定歪み付加と表面の状況を観察の繰り返しによる、擬似的なその場観察により、ヘリウム注入材において発生する粒界き裂と応力負荷方向との関係を調べた。その結果、650℃以上での試験では弾性領域から、550℃では塑性域でのみ付加応力に垂直な表面のランダム粒界が開口・連結し、き裂となること、整合粒界ではさらに変形が進んでから粒界剥離が発生することなどを明かにした。さらに引張り試験片表面の塑性変形や粒界き裂の発生を追跡可能なシステムを製作し、結果の解析を進めている。
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