研究課題/領域番号 |
24656567
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
鈴木 達也 長岡技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70323839)
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キーワード | 同位体効果 / モリブデン同位体 / 同位体分離 / テクネチウム / イオン交換 |
研究概要 |
イオン交換クロマトグラフィによる同位体分離実験を泳動距離を5mに伸ばして実施し、同位体効果が発現されることを確認した。移動相の塩酸濃度を変化させた実験も行い、塩酸濃度により吸着量だけでなく、同位体分別係数の大きさが依存することの確認した。6価モリブデンの塩酸溶液中での構造について安定度定数から計算を行い、吸着挙動を説明できることを示した。更にモリブデンの酸化還元反応を用いた同位体分離試験のため、6価モリブデンを吸着させ、スズで還元する手法の開発を行った。特に、還元で用いたスズをカラムから脱離させる技術について、検討を行いEDTAを用いることにより実現できることを確認した。この脱離技術を開発したことにより吸着帯を泳動する工学的な分離が可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
質量数が100前後の元素の化学的同位体効果は比較的小さなことが知られているが、イオン交換のみで同位体効果が現れることを見出した。酸化還元反応による同位体効果は通常のイオン交換よりも一般に大きなことが知られているが、適当な化学反応を見出すことが最も重要であると考えられ、現在までにクロマトグラフィを用いた同位体分離に利用可能な酸化還元反応を見出したことにより、酸化還元を用いた同位体分離試験を可能とした。更に、モリブデンの塩酸溶液中での構造を明らかにしたことも重要である。
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今後の研究の推進方策 |
酸化還元反応による同位体効果を利用したクロマトグラフィによる同位体分離試験を実施し、より大きな同位体分別係数を得る予定である。同位体分離試験では温度効果についても確認する。また、モリブデンの溶液中の化学構造を利用した量子化学計算による同位体効果の評価を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
イオン交換クロマトグラフィによる同位体分離試験が主であったため、試薬の種類が比較的少なく済んだことによる影響と酸化還元反応を用いた同位体効果では酸化還元反応の確認とカラムからの脱離を中心に行ったため、酸還元反応による同位体効果確認のための同位体比測定を行わなかったことによって消耗品費が抑えられたこと、及び昨年度までは国際会議での成果発表も行ったが、国内での開催であったことにより国外旅費用いなかったことによる。 今年度は、酸化還元反応を用いたクロマトグラフィなど多くの消耗品が発生することが予想され、また樹脂の補充も考えているのでその合成に係る費用として利用する。また、今年度には海外で行われる国際会議での成果発表も予定しており、そのための旅費も用いる。
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