研究課題/領域番号 |
24656573
|
研究機関 | 独立行政法人放射線医学総合研究所 |
研究代表者 |
小林 進悟 独立行政法人放射線医学総合研究所, 研究基盤センター, 研究員 (10434325)
|
キーワード | 中性子イメージング / 高速中性子カメラ |
研究概要 |
平成25年度は、大容量の3次元位置有感型放射線検出器(Monlithic Cubic Scintillator, MCS)の実証用プロトタイプの製作と評価を行なった。MCSは立方体シンチレータの各面に6つ光センサを付け読み出すことで、6つの信号強度比から中性子がシンチレータ内で反応した3次元位置を決めることができる放射線検出器である。MCSが実現すると高速中性子をイメージングするカメラのセンサとすることが将来可能となる。 製作した実証用プロトタイプは、立方体で中空のアクリル製の容器の2箇所にチューブを取り付け、中に液体シンチレータを封入できる仕組みをもっている。液体シンチレータとしてはELJEN社のEJ321HとEJ325Aの2種類のシンチレータのそれぞれを試験した。MCSの6つの面のうち対向する2つの面に光電子増倍管をとりつけ、中性子の散乱位置特定の実証のため、放射線医学総合研究所の中性子発生用加速器システム(NASBEE)を用い中性子照射試験をおこなった。中性子は、重水素4MeVをベリリウムターゲットに照射し発生させた。中性子照射試験ではEJ321H, EJ235Aのどちらの場合でも放射線がシンチレータと相互作用を起こした際のシンチレーション光を2つの光電子増倍管で同時に観測することができ、発光強度から散乱位置を特定できることに期待が持てた。ただし中性子場では、通常、中性子・ガンマ線の2つが混在しているため、中性子カメラとして動作させるためには両者を弁別する高い性能が必要であり、平成26年度に取得したデータの詳細な解析を計画している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
製作した液体シンチレーション検出器の検証のために中性子ビーム照射実験を行ない、適切な信号出力が得られたが、ガンマ線と中性子線の識別性能については予想通りの結果が得られなかった。その原因究明に時間を要しているため。
|
今後の研究の推進方策 |
3次元位置有感型放射線検出器(MCS)を中性子場で動作させるためには、ガンマ線と中性子線を弁別する必要がある。ガンマ線と中性子線の弁別性能を正しく評価するには、中性子ビーム照射実験で得た膨大なデータを統合的に解析する必要があり、今後は解析プログラムを作りMCSの弁別性能を詳細に検証し評価してゆく。その後、再度中性子照射試験を実施し、MCSの動作実証する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
製作した液体シンチレーション検出器の検証のために中性子ビーム照射実験を行ったが、ガンマ線と中性子線の識別性能が予想どおりの結果が得られなかった。そのため当初は中性子ビーム照射実験を2回予定していたが余計に行う必要が生じ、研究計画が遅延したため。 研究成果発表のための旅費や論文投稿費、一部、補完実験のための材料費に当てる予定である。
|