研究課題/領域番号 |
24656574
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鈴木 亮輔 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80179275)
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研究分担者 |
木下 博嗣 福島工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (40177895)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 熱電変換 / 太陽光 / 計算機実験 / 水レンズ / 集熱 / 集光率 / エネルギー変換 / 出力 |
研究概要 |
世界中どこでも簡便に建設できる水レンズを用いて太陽光を集熱し、太陽光の赤外線成分を用いて太陽熱発電を行うために熱電変換素子を利用して発電する場合を想定して、水レンズが具備すべき要件を計算と実験の両面から明示することを研究の目的とした。50倍に集光する条件探索を目標とし、①一点もしくは直線焦点上に集光する条件、②水レンズに対して斜めに入射する光を集光する条件、③焦点距離を可変とし異なる太陽位置に適合する対応策、④焦点に置く受熱板と熱電変換素子の最適条件、を計算結果に基づいて設計し実証する。 平成24年度は計算機を援用した水レンズの基礎設計と実験装置試作を行った。まず、設計に関しては、数学モデルにより数値解を導いた。透明シートは張力ベクトルおよび水の自重の釣り合いから保持される。斜め入射光は左右非対称の水中を通過して焦点に集光する。水層の厚さは透明シートの外形によって定まるから、力の釣り合いを調整すれば、多くの入射光が集光する条件と位置と光の強度を定めることが出来た。水溜りの口径と水深の関数として焦点距離を数値解で示した。水レンズの利用者が用いやすいように、焦点距離を、透明シートの大きさと引っ張り角度、水量の関数で示すよう工夫した。 実験は次のような結果である。透明シートと太陽を用いた小型集光を行い、設計の妥当性を確認する実験を行った。塩化ビニールシートに巻き上げロールを通して左右方向に張力をかけた。焦点に照度計を設置して集光の具合を確かめた。受光素子への光量をXYZ 方向で測定して3次元的に焦点の位置を調査した。線状集光の場合、完全なる焦点位置からわずかにずらせて集熱した方が発電には効果的であった。 実験結果の解釈について、解析解でこれに迫るのは困難であったので、数値解を準備した。市販の光学系ソフトも利用出来ることが分かったので、これを用いても検討を始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初はすべて解析解で記述できるものと考えていたが、研究の進展により2階微分方程式のはじめの積分は可能であったが、次の積分は数値解によるしかなかった。この修正を加え、数値解の検討をして数編の論文を執筆することが出来た。同時に市販の光学系ソフトを試験したところ、十分利用できることが分かったので、この利用に方針を変えた。 実験は快調にデータを出している。多くのデータの相関関係を調べているところである。光源が完全に平行光線でないため補正が必要で、この点はやや難渋している。来年度に解決したい。
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今後の研究の推進方策 |
解析解に乗り換えて斜め入射に挑戦し始めている。また市販のソフトを購入して利用を始めたが、水レンズの特徴をそのままソフトに導入できないことから、今後は3Dのソフトを追加購入してデータの受け渡しを行うことにする。 福島高専との実験の連携は思いの外うまく進んでいる。その結果は2013年6月の国際会議で3件の発表として公表予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度未使用額は会計処理期日が年度内の早い段階であったためである。最終の伝票が使用額に反映されていなかった。最終的には年度内にすべての研究費を使い切っている。よって25年度に持ち越す金額は事実上ゼロであり、次年度の研究費使用計画には該当しない。
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