研究課題/領域番号 |
24656577
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
劉 醇一 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教 (70376937)
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研究分担者 |
加藤 之貴 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 准教授 (20233827)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 化学蓄熱 / 多孔性配位高分子 |
研究概要 |
産業排熱の有効利用法の一つとして化学蓄熱が挙げられる.ここで用いられる反応は金属酸化物/水蒸気系や金属塩/水蒸気系等の気固反応であるが,その反応速度が遅いことや,反応転化率が100%に達しない等の問題があり,実用化には至っていない.本研究では,金属酸化物や金属塩等の化学蓄熱用反応物質と多孔性配位高分子(以下PCP)を複合した材料の化学蓄熱への適用を検討する.平成24年度の研究では,金属酸化物等と複合するのに最適なPCPを決定するために,市販のPCP(Al-BDC(MIL-53(Al)),Cu-BTC,Fe-BTC, ZIF-8の4種類)の熱安定性,水和反応性について検討した. 熱安定性は,熱天秤を用いAr気流下800℃まで加熱することによって評価した.その結果,Al-BDCは500℃,Cu-BTCは300℃,Fe-BTCは400℃,ZIF-8は600℃まで構造破壊による熱分解が観察されず,300℃以下で蓄熱操作を行う際は,Al-BDC,Fe-BTC,ZIF-8の3種類が適していることを明らかにした. 水和反応性は,熱天秤を用いAr気流下300℃で30分間加熱した後に,110℃,水蒸気分圧57.8kPa(Arバランス)の条件で80分間処理することによって評価した.その結果,ZIF-8は加熱処理による重量減少がほとんどなく,水和反応性を示さなかった.一方,Al-BDC,Fe-BTCは,細孔内に含まれる有機溶媒の脱離に伴って生成した細孔内に水蒸気が取り込まれることが確認され,水和による重量変化がAl-BDCでは5.50wt%,Fe-BTCでは13.05wt%(それぞれ初期重量ベース)であった.以上の結果より,化学蓄熱材のマトリックスとして用いるPCPとして,Al-BDC,Fe-BTCが適していることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
PCPそのものの水和反応性(主に水蒸気吸着による)を明らかにし,化学蓄熱材のマトリックスとして使用可能なPCPを明らかにした. PCPへの金属塩の担持量,担持方法に関する検討が不十分であるが,PCPと金属塩との複合化についてさらに検討を進め,水和反応性評価等を行う.
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今後の研究の推進方策 |
PCPへの金属塩の担持量,担持方法に関する検討が不十分である. 今年度の前半は,PCPと金属塩との複合化に関する検討を重点的に進め,試作した試料について随時キャラクタリゼーションや水和反応性評価等を行う. また,金属塩とPCPとの複合材料の合成法についても,検討を始める.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は,予算を効率的に使用したため,未使用額が発生した. 平成24年度の未使用額は,平成25年度の研究を進めるため, 平成25年度分の研究費と合わせて物品費(試薬代・ガラス器具代・ガスボンベ代等),国内旅費(情報収集等)に充当する.
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