産業排熱の有効利用法の一つとして化学蓄熱が挙げられる.ここで用いられる反応は金属酸化物/水蒸気系や金属塩/水蒸気系等の気固反応であるが,その反応速度が遅いことや,反応転化率が100%に達しない等の問題があり,実用化には至っていない.本研究では,金属酸化物や金属塩等の化学蓄熱用反応物質と多孔性配位高分子(以下PCP)を複合した材料の化学蓄熱への適用を検討した. 平成26年度の研究では,前年度に引き続いてZIF-8に塩化リチウムや塩化カルシウムを含浸担持した試料を合成し,水和反応・脱水反応を繰り返した際の耐久性を評価した. 一例として,CaCl2/ZIF-8(1:3)を用い,試料を熱天秤中Ar気流下300℃で30分間加熱することによる脱水反応,110℃,水蒸気分圧57.8kPa(Arバランス)の条件で80分間処理することによる水和反応を17回繰り返した結果,5サイクル目以後の反応転化率がほぼ一定となることがわかり,繰返し反応によって一定の耐久性を持つことがわかった.
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