研究課題
本研究では、大腸菌ゲノムに多数存在している0.5 kb以上の遺伝子間領域を体系的に解析することを目的としてきた。 昨年度(初年度)は、計画に沿って、(1)大腸菌ゲノムデータベースを活用した総合的情報解析と優先順位決定、(2)一連の領域の欠失変異の作成、(3)作成された欠失変異体の体系的表現型解析を進めた。また、(4)datA部位(DnaA結合部位クラスターをもつ遺伝子間領域)に、複製開始因子ATP-DnaAを不活性なADP-DnaAに変換する 機能があることを新たに発見し、その分子機構を解明した。この成果については、国際学会等で発表するとともに論文(Proc Natl Sci Acad USA)発表を行った。今年度(最終年度)においては、これらの成果にもとづき、(1)体系的に作成した欠失変異体のうち、数種が低度の増殖阻害を起こすこと、および、1種が明確な温度感受性増殖阻害を起こすこと、を確定した。そして、(2) 明確な増殖阻害を起こす遺伝子間領域について、多様な長さの欠失変異を導入し、増殖に必須となる重要領域を限定した。さらに、(3)プラスミドをもちいた相補性試験によって当該部位欠失による増殖阻害が正常に回復することがわかった。さらに、(4) 変異体解析によって染色体の複製開始の制御に阻害が起こっていることが示唆された。ただしこれは間接的な帰結かもしれない。また、(5)限定された領域の配列解析には既知のタンパク質結合配列は見出されなかった。よって、さらに詳細な配列解析と結合因子探索が必要であることがわかった。また、(4)限定した必須領域の塩基配列を大腸菌ゲノムデータベースに照らして解析した結果、同様な特徴(モチーフ)をもつ部位がさらに数カ所見出された。さらに酵母やヒトなど多数のゲノムデータベースにも照らし合わせ、同類と思われる多数の部位を抽出し、体系的に整理した。これらの成果は国内学会や研究会で発表した。
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