研究課題/領域番号 |
24657010
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
占部 城太郎 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (50250163)
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キーワード | 河川生態系 / 菌類 / 生物多様性 / 群集構造 / 土地利用 |
研究概要 |
本研究は、河川における腐食連鎖系の低次生産生物として重要性が指摘されながらも、これまで無視されてきた水生菌類に焦点をあて、その上流から下流へ至る種多様性パターンを仮説検証的に調べることで群集の維持構造の決定機構(集合ルール)や機能的役割を理 解し、その成果を通じて流程に沿った生物群集を支える栄養指標を確立することを目的としている。 本年度は名取川水系の水生菌類(子のう菌、担子菌、ツボカビ、変形菌)を対象に、素焼タイルを付着板として用いた現場実験を行うことで水生菌類の群集構造とその支配要因について検討を行った。実験は夏から秋にかけて名取川の上流域と下流域の2地点で行い、各地点とも付着板を遮光チューブ(暗条件)と透明チューブ(明条件)に設置して3ヶ月間培養した。タクサ数は前年度と同様にDGGE法によるOTUとして計数した。その結果、菌類群集を構成するタクサ数はいずれの地点でも付着藻類が発達した明条件ほど高く、またタクサ組成は光条件に加えて上下流間でも異なっていた。この結果から、水生菌類の中には外来有機物だけでなく内生性の付着藻類にも強く依存しているタクサが存在すること、したがってその菌類群集の構造は有機物負荷量だけでなく光条件にも依存していることが判った。これらの結果をもとに、最終年度にあたる次年度は、河川有機物の質や量と菌類群集組成との関係を調べ、河川の上流から下流へと至る栄養指標としての有効性を検討することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大雨による出水のため実験装置が一部流されたが、解析に必要な付着板を回収することができたためほぼ予定通りの実験を行い成果を得る事が出来た。
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今後の研究の推進方策 |
次世代シークエンサーの利用を検討したが、予算的に間に合わなかったのでDGGE法で解析を行うこととした。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験装置が流されたため、DGGE法による解析サンプル数が減り、分析にかかわる消耗品費が少なかったため。 最終年度に詳細な分析を行うために予算を利用する。
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