研究課題/領域番号 |
24657013
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉澤 晋 東京大学, 大気海洋研究所, 研究員 (00553108)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 発光細菌 / Vibrio / 蛍光タンパク質 / ルシフェラーゼ / 海洋細菌 |
研究概要 |
発光細菌は、沿岸から外洋の海水などから広く分離される、一方で海洋中に無数に漂うマリンスノー(海中懸濁物:主に海産生物の糞や死骸から構成される)の約70%が発光細菌の活動により発光している事が報告されており、発光細菌の生態とどの様に関係しているのかが注目されている(Andrews et al., 1984)。本研究では、「発光細菌はマリンスノー上で発光することにより高次生物(魚等)に認識・捕食され、腸管内で増殖しそのニッチを維持している」という仮説を立て、発光細菌発光色の詳細な解析を行うことで仮説の検証を行うことを目的とする。 平成24年度は、発光色のバリエーションの解明および発光色変化に関与する蛍光タンパク質の解析を行った。また、蛍光タンパク質を持つと予想される株のゲノム解析を現在実施中である。 具体的には、これまでに分離した発光細菌(約700株)の発光色を分光蛍光光度計を用いてnmオーダで詳細に測定した。その結果、分離株の発光色は473-535nmの間にピーク波長を持つこと、同種の発光細菌は同じ色の光を放つことが明らかになった。これまで発光細菌の放つ光は、青緑色(約480nm)もしくは黄色(約530nm)の2タイプしか無いと考えられてきたが、本研究結果からこれまで考えられていた以上にバリエーションがあることが分かった。現在、それらの発光細菌が分離された海洋環境と発光色の関係を解析中である。また、細胞内に青色蛍光タンパク質を持ち、発光色を変化させる発光細菌種(Vibrio azureus)が見つかり、現在ゲノム解析を実施中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに分離した発光細菌の発光色の詳細な測定を行い、想定していたデータをおおむね取得することができた。現在は、発光細菌が分離された海洋環境と発光色の関係を解析中である。解析に必要なデータはこれまでの研究で取得済みである。 また、これまで光の色を変化させる蛍光タンパク質を持つ事が知られていなかった細菌種から蛍光タンパク質を見つけ、現在ゲノム解析を実施中である。本年度(H25)に予定している、発光に関わる遺伝子解析を問題無く実施できると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で、発光細菌の放つ光の色および生息水塊の環境データを取得済みである。本年度は、発光色測定済分離株の発光関連遺伝子の決定を行い、発光色、生息環境データ、遺伝子データを用いて発光と生息環境の関係および発光色の進化機構を明らかにする予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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