研究概要 |
環境ストレス下で大腸菌クローン細胞集団内の1細胞レベルでの反応基準の応答パターン(reaction norm:大腸菌の伸長性、ストレス応答関連遺伝子の発現)の差の検出を試みた。環境条件は、①通常(M9 培地+0.2%グルコース);②貧栄養(M9 培地+0.05%グルコース、同+グルコースなし);③貧栄養+抗生物質(M9培地+0.05%グルコース+抗生物質アンピシリン)の3つを設けた。親株(F3_IntC::Tmcherry4)をもとに、これまでにつくった形質転換体は以下の6系統である。rpos (ストレス応答上流遺伝子) / osmE (Stress-inducible outer membrane lipoprotein)/ psiF (Induced by phosphate starvation)/ dps (DNA protection protein, bacterial ferritin)/ dinB (DNA ポリメラーゼ, SOS レスポンスに関与)/ recA ("error prone" DNA 修復タンパク)。これら6株について、大腸菌ストレス応答関連遺伝子のプロモーター活性をGFP で検出を試行した。SOS レスポンス関与遺伝子(dinB, recAなど)は、貧栄養下、あるいは通常環境下でも増殖が進んで周囲の栄養がなくなってくると、一部の細胞だけが強い蛍光量を示し、伸長するものが見られた。双山型の発現量分化のようなパターンが生じ、特に強い発現量の細胞は、分裂後の娘細胞でも受け継がれることが示唆される観測結果を得た。
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