研究課題
最終年度は、しまね海洋館アクアスのシロイルカからPS1を収集した。シロイルカの水槽は2つあり、それぞれ4頭、3頭が飼育されている。どちらの水槽でもPS1を使った鳴き交わしが多く見られただけでなく、0歳の仔を除く6頭全てが個体特有のPS1を持っていた。さらに、通常時(トレーニングや餌の時間を除く、人の出入りがない自然な状態のこと)の収録に加え、4頭がいる水槽では、水槽内を3つに仕切っている水門を開閉し、視覚によるコンタクトが可能な状態(水門:開)から、視覚によるコンタクトが不可能な状態(水門:閉)にした時、またその逆の時にも鳴音を収録した。その結果、水門開閉直後にPS1を鳴き交わすことが多く、コンタクトコールとしての機能がより明確になった。また、海遊館のカマイルカの音声収録も行った。水槽は展示水槽と、裏水槽があり、展示水槽では4頭、裏水槽では2頭飼育されている。始め裏水槽では若いメス2頭が飼育されており、その2頭から通常時の鳴音を収録した。その2頭は、ある特定のパルスパターン(PSP1)を繰り返し出したり、鳴き交わしたりしていた。裏水槽の大きさは5m×5mほどであるが、PSP1が出されるときの個体間距離は2m以上のことが多く、発声前と後とでその距離が変化することは少なかった。さらに、PSP1が出される前後の行動を調べたところ、発声個体、発声していない個体共に通常のスピードで遊泳していることが多かった。これらのことから、PSP1は接触行動とは独立しており、行動変化の引き金となる信号ではないといえる。
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