研究課題
ミジンコ類(枝角目甲殻類)は世界中の淡水に生息し、扱い易いことから生態学の研究に用いられてきた。ミジンコは、他のモデル生物と比較してようやくゲノム研究の基盤が整備されてきたばかりである。我々はこれまでに、ミジンコ類の中で最大級であるオオミジンコの EST を約5万決定し、マイクロアレイを作製して化学物質などの環境要因に応答する遺伝子を網羅的に解析するエコ(トキシコ)ゲノミクスを行ってきた。また、次世代シークエンサーを利用した、トランスクリプトの網羅的な解析も開始している。さらに我々はミジンコ類で初めてオオミジンコ卵への二重鎖RNAの微量注入によるRNAiを確立したが、今後詳細に遺伝子機能解析を進めるには、導入遺伝子の発現を自在に制御することが必要であり、さらに永続的に遺伝子発現をコントロールできるようなトランスジェニックミジンコの作出が不可欠である。本研究では遺伝的な交配実験系の開発について解析を行った。オオミジンコは、自然環境条件により、単為生殖と有性生殖を使い分ける。光、温度、密度を調節することにより、一部のミジンコにおいてほぼ100%雄が出る条件を決定した。さらにマクロインジェクション法によるトランスジェニック動物個体の作出を試みた。現在のところ、インジェクション直後に一過的な遺伝子(EGFP)発現が認められたものの、次世代にトランスジーンが伝達されることは確認できていない。また、我々はTALENにより遺伝子破壊法を検討し、ライン化を試みている。これらは、今後遺伝子改変ミジンコ作出するための基礎的な知見として応用可能である。
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