研究課題/領域番号 |
24657024
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山口 信次郎 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (10332298)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 植物 / 生理活性 / 発生・分化 / シロイヌナズナ |
研究概要 |
カリキンは植物が燃焼した際の煙に含まれる物質で、山火事後に休眠覚醒する植物の発芽促進物質として発見された。カリキンはストリゴラクトン(SL)と同様に、メチルブテノリド骨格を含み、シロイヌナズナをはじめとする様々な植物の種子発芽を促進する。一方、SL非感受性変異体を用いた研究から、SLと似て非なる新たなホルモン様物質の存在が示唆されている。本研究では、同ホルモンとカリキンの関係を明らかにすること、同ホルモンの欠損変異体を単離することを目標とする。 本年度はまず、カリキンがD14LIKE経路で働く可能性を追究するため、シロイヌナズナにおけるカリキンの種子発芽に対する作用が、d14like変異体において低減されているかどうかを検討した。野生型とd14like変異体、およびd14とd14 d14like二重変異体をそれぞれ比較したところ、d14like変異によりカリキン応答性が低下することが示唆された。次にカリキンがシロイヌナズナに存在するかどうかを液体クロマトグラフ-質量分析装置(LC-ESI-MS/MS)を用いて調べた。しかし、内生物質であることを支持する結果は得られなかった。これまでにD14LIKE経路の突然変異体は、d14likeそのものしか得られていない。そこで、D14LIKE経路の新たな変異体、とくにSLと似て非なる新たなホルモン様物質の欠損変異体の取得を目的とし、d14like変異体と表現型が類似した変異体の収集を開始した。本年度は胚軸の徒長を指標として、変異源処理したシロイヌナズナM2集団から候補となる変異体を選抜した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度はおおむね当初の計画にしたがって研究が行われたが、カリキン依存的に発現する遺伝子の探索が遅れている。また、カリキンがシロイヌナズナの内生物質として存在するかどうかを調べる実験においては、より多様な組織を用いて実験を行う必要がある。一方、d14like変異体と類似した変異体の収集は順調に進んでいるが、今後、d14likeに特徴的な表現型を指標としてさらなる選抜が必要であり、慎重に実験を進めて行く必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、まずカリキン応答性遺伝子とD14LIKEの関係性を明らかにする。また、カリキンがシロイヌナズナの内生物質として検出された場合は、定量的解析の準備を開始し、その分布等を明らかにする。D14LIKE経路の新たな変異体のスクリーニングを継続する。前年度までに胚軸の徒長を指標に得た変異体候補を用いてさらなる選抜を行う。d14like自身のアリルでないことが確認できた変異体については、カリキンに対する応答性を検討し、カリキンが同経路のホルモン類似物質である可能性を追究する。また、目的の新規変異体が得られた場合には、原因遺伝子同定のための準備を開始する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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