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2013 年度 実施状況報告書

オーレオクロムが関与する褐藻の光反応の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24657025
研究機関東北大学

研究代表者

片岡 博尚  東北大学, 学術資源研究公開センター, 協力研究員 (30108568)

キーワードオーレオクロム
研究概要

昨年まで研究に用いてきた褐藻ハロプテリス(Halopteris)は赤色光単独では枯死し,青色光単独では白色光と変わらない成長が維持されることを確認した。しかし,ハロプテリスは細胞列が一次元に成長するものの,藻体が半球状,または球状になるため,培養中に細胞の形態を観察することは不可能であった。また,上からの光においても球状となることは顕著な光屈性も示さないことを示唆する。
そこで,神戸大学の系統保存施設から新に海産褐藻のシオミドロ(Ectocarpus)を入手し,青色光反応の予備的探索と十分量の藻体を得るための培養を開始した。入手した株は,最近,日本の研究者も参加しての国際的プロジェクトによってゲノム情報が解明され,公開されたと同一のEctocarpus siliculosus (Dilwyn) Lyngbyeの雄の配偶体である。この株には,4種のオーレオクロム遺伝子が存在している。まず,3ヶ月間,14℃,連続白色光下で育てたEctocarpusを細切りし,6cmペトリ皿に移し,連続光で育てたところ,やはり赤色光単独では成長しなかった。
次いで,2台の赤/青混合LED昭明装置(CCS社ISC 201-2)を用いて,長日条件(14L - 10D)で育てた。青色光単独(40-80 umole/m2/s1)と,総光強度を等しくした赤/青混合光{青色光(30-40 umole/m2/s1)+ 赤色光(40-60 umole/m2/s1)} で育てた所,青色光と赤/青混合光での成長にほとんど差は無かった。現在,他の条件は同一に保ち,明暗周期だけを短日(8L - 16D)に変えて成長を観察中である。また,同一株の雌配偶体の培養も開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

成長が予想以上に遅いことが問題である。その原因の一つに培養液の海水の違いがあるかもしれない。現在培養に用いている海水は宮城県七ヶ浜沖で10年近く前に採取したものである。以前ヒバマタ(Fucus)を用いた実験との連続性を重視したかったからである。しかし,神戸大学から入手したEctocarpusは数ヶ月ごとに淡路島で採取した海水を用いているという。成長の遅滞には,もちろん,季節変動や,光条件など環境の違いが影響している可能性も無視できない。 神戸大学の研究者に問い合わせると,有性生殖能,栄養生殖能とも,2-4月が最大とのことだが,その理由は未解明だという。海水の採取地,保存期間の長さを変える必要があるかもしれない。また,狭い培養スペースや装置が限られているため,日長処理を種々に変えた培養を同時に行うことはできないなどの制限を凌駕する実験系を確立する必要がある。

今後の研究の推進方策

4月から5月にかけて,宮城県奥松島海岸から新しく海水を採取し,新旧の両海水で,成育特性の違いを調べる予定である。2014年3月末に神戸で開催されたEctocarpus国際会議に参加し,Ectocarpus 研究の大家D. Mueller 博士や,A. Peter博士たちからEctocarpusの生活史やゲノム解析に関する有益な情報を得た。これらの情報を今後の研究に活用したい。彼らの研究によってEctocarpusの生活史はHalopterisよりはるかに複雑であることがわかったが,植物園の限られた実験環境では,広い培養空間を要する,日長効果の解析などは得策ではない。一方,Ectocarpus細胞の光極性分化に関する研究は何も進んでいない。そこで,ヒバマタ受精卵や私が過去にフシナシミドロ(Vaucheria)で行ったような光屈性,背腹性,仮根形成などの光生物反応を,Ectocarpusで検討するための実験系を確立したい。

次年度の研究費の使用計画

研究の進展がやや遅れているために,購入すべき消耗品,たとえば,海水を採取し,濾過滅菌するための吸引ポンプやフィルターなどの物品費と,海藻資料採取のための旅費の使用が平成25年度にできなかった。
海水採取とその濾過滅菌処理,培養液の作成を4月中に開始する。また褐藻資料のサンプリングと成育調査は5-6月,および,10-11月に行う予定である。さらに,シオミドロ研究に関するヨーロッパへの調査旅行の必要性を検討している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014 2013

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 黄金色藻オクロモナスオーレオクロムの分光学的解析2014

    • 著者名/発表者名
      池田美恵, 笠原賢洋, 片岡博尚, 高橋文雄
    • 学会等名
      第55回日本植物生理学会大会
    • 発表場所
      富山
    • 年月日
      20140318-20140320
  • [学会発表] Aureochrome-1の各ドメインの機能解析2013

    • 著者名/発表者名
      中谷 陽一, 竹内 健, 井澤 洋介, 高橋 文雄, 片岡 博尚, 久冨 修
    • 学会等名
      第51回日本生物物理学会年会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20131028-20131030

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公開日: 2015-05-28  

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