研究課題
研究代表者らが2007年に黄色植物(Ochrophyta) に共通に保存されている青色光受容体オーレオクロム(AUREOCHROME)を世界に先駆けて発見同定した.オーレオクロムは青色光を吸収すると標的遺伝子に結合し、その発現を制御する分子スイッチであることを明らかにしてきた.しかし、オーレオクロムを発見したフシナシミドロは多核細胞であるため、遺伝子改変を用いた手法が使えない難点がある.同じ黄色植物であるケイ藻や褐藻は単核細胞でできており、ゲノム構造も明らかになりつつある.ただ、多くの褐藻は大型で、室内培養が困難であるため、生理学が非常に遅れている.そこで、褐藻のオーレオクロムの標的反応を解明するために、培養が容易で生活環が速く回転する、小型で単純な体制をもつ褐藻を神戸大学の系統保存施設(KURSIS)で継代培養されている株から探索し入手した.ハロプテリス (Halopteris congesta)、シオミドロ ( Ectocarpus siliculosus)、アミジグサ (Dictyota dichotoma)、およびヤハズグサ (Dictyopteris latiuscula )をPESI培養液中で、 約15℃に保った培養庫で培養し、種々強度、明暗周期、照射方向から青色光と赤色光で培養した.いずれの褐藻も、青色光では白色光と同じ成長を示したが、赤色光単独では遅くても2-3週間で枯死した.青色光に赤色光を1:1で混在させても、成育に青色光単独と有意な差はなかった.この結果は成育や生存には青色光が必要不可欠なことを示し、オーレオクロムの関与を強く示唆するが、本研究期間、実験条件下では、有性生殖や光形態形成、または、光屈性や背腹性誘導などの光方向依存性反応は発見できなかった.さらなる研究が必要である.
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Journal of Integrative Plant Biology
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