研究課題
全塩基配列が決定されているシロイヌナズナの野生型80エコタイプ(ユーラシア、アフリカの系統)を用いたGWAS解析を試みた。公開されている配列情報をもとに150万のSNP情報を抽出した。表現型の多型情報としては、環境ストレス(強光及び低温)による光阻害、アントシアニン蓄積を指標にphenotypingを行った。DNA多型及び表現型多型の相関解析の計算にはTASSEL(Cornel大)を用いた。解析の結果以下のようなことがわかった。すなわち、1)ヒトのGWASデータではひとつの遺伝子座あたり単一の原因SNPで説明がつくことがあるが、対照的にシロイヌナズナでは複数の原因SNPが同一遺伝子座に集積する傾向がある(シロイヌナズナの高い自殖性が原因であると思われる)、2)その結果個々のSNPのGWASスコアはヒトの解析結果と比較すると相当低くなる、3)遺伝的背景が大きく異なる系統が1~2系統加わると擬陽性シグナルが多数現れることがある。1)に関しては「GWASシグナルがクラスター化している遺伝子座を探す」、ことで対応することができそうな感触が得られた。2)に関してはシロイヌナズナGWASはそのようなものである、と捉えるべきであると考えられた。3)については用いた系統の5%以下でしか検出されないようなマイナーSNPはGWAS解析に用いない、ということで対応できた。各エコタイプで生じている偽遺伝子の情報をGWAS解析に用いてみたが、今回光阻害を指標にした数例の解析においては偽遺伝子情報の有用性を示すことはできなかった。
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